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中国・高級幹部の子弟の留学がもたらすもの




  ~劉少奇の子息が警告する、中国の体制への脅威~
<『フォーリン・ポリシー』電子版2012年11月9日、シドニー・モーニング・ヘラルド紙とジ・エイジ紙のジョン・ガーノー記者 "The Children Devour the Revolution" >

「アラブの春」による独裁政権の崩壊は、中国の指導部にとって衝撃的だった。

劉少奇元国家主席の子の劉源上将(大将、人民解放軍総後勤部政治委員)によると、リビアのカダフィ大佐の弱点となったのは、次男のセイフイスラムが英国留学中に「西側の敵対勢力」に洗脳されたことだった。セイフイスラムが自由民主主義者となって帰国し、改革を試みた結果、体制が正当性を失い、打倒されたというのだ。

劉上将は2012年2月、非公開の講演でこの説を述べ、高級幹部の子弟が欧米の留学先で洗脳され、中国の体制を内部から台無しにしてしまう可能性を警告した。

この警告が、中国の指導部にとって快いはずがない。劉上将は11月の第18回党大会代表の一員だったが、壇上の主席団席には現れなかった。「どんな発言をするのか、指導部が恐れたからではないか」というのが、劉上将の友人の太子党(中国共産党や軍の高級幹部の二世、三世)の見方だ。

劉上将のライバルの太子党は、劉上将は指導部を批判しているのだと断言する。実際、11月までの政治局常務委員9人のうち8人の子弟は、西側での留学またはビジネスの経験がある。劉上将の講演は、薄熙来氏の長男の英米留学を一因とするスキャンダルが発覚した直後だった。

この1年ほど、劉上将は、悪しき個人主義が軍を蝕み、腐敗、不公正、偽善が横行しているとして、家名と自身の将来を賭けて軍と党の現状と闘っているが、劉上将が高級幹部の子弟に目を光らす一方で、妹の劉亭は、ハーバード大学に学んだ後、中国の空域の外国企業による利用を助けるコンサルタント会社の聯亜集団を経営している。劉上将は、この矛盾をどう説明するのだろう。

(訳・要約:西恭之、椎名亜由子)