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8月分


ニュース:米国の1億人以上が住む地域が猛暑地帯となるおそれ

2023年には米国内の50郡に住む810万人が華氏125度(摂氏51.7度)以上の気温を経験し、2053年までには米国土の4分の1にあたる1023郡の人口1億706万人が同様の高温にさらされるという研究結果が米国のファースト・ストリート財団から公表された。もっとも深刻な高温が予測されたのはフロリダ州マイアミ・デイド郡で、現在は華氏103度(摂氏39.4度)以上の日が年7日あるところ、2053年までには年34日に増えるという。研究チームは、温暖化による年平均気温の上昇だけでなく、危険な高温の日数の増加にも注意する必要を指摘している。
【関連リンク】
https://firststreet.org/research-lab/published-research/article-highlights-from-hazardous-heat/
(2022年8月16日)


ニュース:英当局がオミクロン対応ワクチンを承認

新型コロナウイルスの野生株(2020年)とオミクロンBA.1変異株の両方に効くモデルナ社のワクチンが英国の医薬品・医療製品規制庁(MHRA)に承認された。秋の追加接種で活用され、新たな変異株により大きな効果を発揮することが期待される。モデルナ社は米国向けにはオミクロンBA.4とBA.5に対象を絞った別のワクチンの開発を進めている。
(2022年8月15日)



ニュース:中国で動物から感染する新たなウイルス発見

中国の山東省と河南省で、動物からヒトに感染するランヤヘニパウイルスが発見された。致死例はみられず、ヒトからヒトへは感染しにくいという。2018年以降35件の感染が確認されているが、それぞれ独立した感染例だと考えられている。ランヤヘニパウイルスは、ヒトに感染するヘニパウイルスであるニパウイルスとヘンドラウイルスの仲間で、高熱、咳、倦怠感、呼吸器系の炎症といった症状を引き起こす。今までのところ感染者には農業従事者が多く動物との接触後に感染が確認されているが、ウイルスの感染経路を明らかにすることが急務となっている。
(2022年8月11日)


ニュース:コウモリからヒトへSARSが日常的に感染

最近発表された研究結果によると、東南アジアでは毎年約6万6000人がSARS関連のコロナウイルスに感染し、5億人ほどがこれらのウイルスの感染源となるコウモリの近くに居住していることが分かった。このことから、東南アジアでは監視プログラムに把握されないコウモリからヒトへのウイルス感染が日常的に起こっており、コウモリの種別の生息地を地図化することが新型コロナウイルスの発生地を探り当てる手がかりとなるとしている。論文はネイチャー・コミュニケーションズ誌に掲載された。
(2022年8月10日)

ニュース:サル痘ワクチン、5分の1量でも効果発揮か

サル痘の感染が拡大し、ワクチン不足が問題となる中、米国の食品医薬品局(FDA)は、1回の接種に必要な量を5分の1にまで減らす投与方法に緊急使用許可を与えた。従来のような皮下脂肪への注入ではなく皮膚層の間に注入することで、注入量を減らしても効果を保てるという。これに先立ち、サル痘ワクチンのメーカーであるデンマークのJynneros社が、期限切れと考えられていたワクチンの20万回分以上が使用可能であるとの発表を行っており、ワクチン増産が進むまでのさまざまな対策が取られている。
(2022年8月10日)


ニュース:欧州各国でサル痘ワクチン供給状態に格差

サル痘の感染拡大が広がる欧州ではいまだワクチンを接種できない国があり、イタリア人やスイス人が外国でワクチン接種を求める動きが広がっている。8日付のフィナンシャルタイムズ紙が報じた。欧州医薬品庁は、ワクチンメーカーBavarian Nordic社の追加の製造拠点を承認し、日本のKMバイオロジクス製ワクチンのサル痘に対する有効性の審査を始めた。現時点では追加生産されるワクチンがいつ供給されるか不明であり、ワクチン不足はしばらく続くと見込まれている。
(2022年8月8日)

ニュース:トンガ火山噴火により地上の気温が上昇

今年1月15日にトンガのフンガ・トンガ=フンガ・ハアパイ火山で発生した噴火によって、水蒸気1億4600万トンが成層圏に放出され、成層圏の水蒸気量が10%増えたとするNASA(米航空宇宙局)の研究者による研究結果が発表された。水蒸気の増加はふつう、熱を地上に封じ込めることにより地上の気温を上昇させ、その影響は噴火後1-2年続くという。今回のトンガでの噴火は成層圏循環に達するほど大規模だったので、影響は5-10年続きそうだという。論文はGeophysical Research Letters誌に掲載された。
(2022年8月3日)


ニュース:本年上半期の自然災害による損失、720億ドルに

2022年上半期の自然災害による経済被害は720億ドル(9兆円)に上ると、スイスの大手再保険会社スイス・リーが推計した。昨年上半期の910憶ドルよりは少ないものの、過去10年間の平均の740億ドルに近い。被害の大半は欧米の冬の嵐が原因だった。洪水や暴風雨の被害がとくに増えており、自然災害に脆弱な地域の急速な都市化が影響しているとみられる。
(2022年8月2日)


ニュース:米政府がサル痘対策責任者を任命

米バイデン政権は、感染拡大が続くサル痘の国家対応調整官としてFEMA(連邦危機管理庁)のフェントン元長官代理を任命した。CDC(疾病予防管理センター)のHIV(ヒト免疫不全ウイルス)予防対策部のダスカラキス所長を補佐として、検査とワクチン接種を増やし、治療も簡単に受けられるように調整する。米国では感染例が5800件を超える中、ワクチン接種や治療を希望する人々が長期間待たされる事態が続いており、感染抑制に向けた連邦政府の対応への批判が高まっていた。
(2022年8月2日)


ニュース:新型コロナの端緒は武漢の海鮮市場―米スクリップス研究所

新型コロナウイルスによるパンデミックの始まりは、2019年末に武漢の海鮮市場で売られていた生きた動物から2種ないし20種以上の異なるウイルスが感染したことがきっかけだったとする2本の論文がサイエンス誌に発表された。研究をおこなった米スクリップス研究所は会見を開き、中国の研究所からウイルスが流出したという説がこれで打ち消されるわけではないものの、パンデミック初期の市場周辺におけるクラスター感染といった、複数の証拠やデータに適合する唯一の感染源は武漢海鮮市場であるとの見方を示した。
(2022年7月27日)



ニュース:米の林野火災被害、過去10年で最悪

米国の省庁間火災センターによると、今年の米国では3万8000件の林野火災により2万2500平方キロ以上が焼失し、過去10年で最悪の被害となった。高温に加え今夏は降雨量が極端に少なく、カリフォルニア州のヨセミテ国立公園付近でも大きな林野火災が発生し、州知事が周辺の郡に非常事態宣言を発令するなど、西部を中心に状況は悪化している。
(2022年7月25日)



ニュース:WHOがサル痘で緊急事態宣言

世界保健機関(WHO)のテドロス事務局長は23日、サル痘の世界的な感染拡大が「国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態」に該当すると宣言した。緊急事態宣言は最高度の警戒レベルの呼びかけであり、2020年1月に新型コロナウイルスに対して出されて以来初めてとなる。委員会では緊急事態を宣言することに意見が割れたものの、世界のサル痘感染例が1万6000件を越えたことを重く見たテドロス事務局長が反対多数を押し切り、宣言することを決定した。サル痘の感染は、これまで渡航者を除いてアフリカに限られていたが、現在75か国以上で確認されている。しかし、患者の大半は男性間で性交渉を持った人に限られているので、緊急事態宣言が不要な警戒感を一般市民に引き起こすのではないかとの懸念から宣言に反対する委員も多かったとみられる。
(2022年7月23日)


技術研究情報:気温上昇2度以下に抑えて最悪シナリオ回避―英ダラム大学試算

英ダラム大学地理学研究科が発表した新研究によると、気候変動に関するパリ協定の目標のとおりに世界の平均気温上昇を産業革命前と比べて2度以下に保つことができれば、東南極氷床の溶解による西暦2500年までの海面上昇が0.5メートル以下に抑えられ、人口の多い地域が水没する最悪の結果は避けられる見込みがある。逆に、世界の平均気温が2度以上上昇すれば、東南極氷床の融解が加速され、それだけでも数世紀以内に最大5メートルの海面上昇をもたらすおそれがあるという。
【関連リンク】
https://www.durham.ac.uk/news-events/latest-news/2022/08/fate-of-the-worlds-biggest-ice-sheet-is-in-our-hands/
(2022年8月17日)



技術研究情報:気候変動によりカリフォルニア大洪水のリスクがすでに上昇

米国立大気研究センター(NCAR)は、カリフォルニア州の大部分が浸水するような壊滅的な大洪水のリスクが、気候変動の影響で大幅に上昇しているとする研究結果を発表した。このリスクはすでに倍増しており、温室効果ガスの排出量が高止まりすれば、かつては200年に1回起きた規模の大洪水が、今世紀中に30-35年毎に発生することが予測されるという。カリフォルニアでは、この規模の洪水は1861-62年以後発生していない。同州の広い地域が冠水し、人口の1%が死亡、経済は壊滅的な損害を受けたという。気候変動による大洪水のリスクは近年まで予測されていた以上に高く、確実に起こるものであり、気温上昇に伴いさらに頻繫になると警告している。
【関連リンク】
https://news.ucar.edu/132857/california-faces-heightened-risk-megafloods
(2022年8月17日)



技術研究情報:大規模噴火の脅威の無視は無謀―ケンブリッジ大学研究

隕石の地球への衝突といった発生確率がきわめて低い災害に対して多額の公的資金が投入されているのに対し、発生確率がはるかに高い大規模噴火の脅威が無視され、政府が火山の監視や噴火への対応に資金を投入しないのは「無謀」といえるとする研究結果を、ケンブリッジ大学の人類存続に関わるリスク研究センター(CSER)が発表した。大規模噴火の可能性は低いというのは大きな勘違いであり、火山活動の監視、地域住民への課題認識・教育活動、噴火の気候影響を減らす工学的方法(ジオエンジニアリング)といった、噴火被害を減少させるために可能な活動が存在するので、必要な資源を投じよと訴えている。論文はネイチャー誌に掲載された。
【関連リンク】
https://www.nature.com/articles/d41586-022-02177-x
(2022年8月17日)

技術研究情報:植物から干ばつの兆候

コネチカット州立大学の研究者が、干ばつをより正確に予測するため、気象データに頼ることなく、植物の蒸発散量、土壌の水分量、蒸気圧不足量、クロロフィル蛍光、植生に関する遠隔センサーのデータなどを用いる方法を開発した。気象データに頼る従来の方法では、対応する余裕をもって予測することは難しいが、この方法だと数週間ないし数か月前から予測が可能となるという。林野火災、水不足、食糧不足といった、干ばつに端を発する他のリスクへの対応準備に役立つことが期待される。
【関連リンク】
https://www.pnas.org/doi/10.1073/pnas.2202767119
(2022年8月5日)

技術研究情報:新型コロナワクチン経皮吸収パッチの動物実験―豪クイーンズランド大

豪州で開発されたワクチン接種用の経皮吸収パッチが、新型コロナウイルスのオミクロン変異株に対して注射よりも大きな効果を動物実験で示した。ブリスベンのバイオ企業Vaxxas社の高密度マイクロアレイ・パッチの効果をクイーンズランド大学がマウスで実験した。オミクロン変異株に対しては、同じワクチンの注射より11倍高い効果を得たという。高密度マイクロアレイ・パッチは、免疫細胞の多い皮膚の層にワクチンをピンポイントで届けることが可能だという。
(2022年7月29日)

技術研究情報:小児肝炎急増の原因判明か―英国の査読前論文

小児肝炎感染が昨年秋から急に増えた原因に迫る研究が英国で相次いで発表された。ひとつはグラスゴー大学の研究者によるもので7月19日、もう一つはロンドンのグレート・オーモンドストリート病院によるもので7月28日、両方とも査読前の原稿(プレプリント)を配布するウェブサイトmedRxiv(メドアーカイブ)で公表された。小児がすでにアデノ随伴ウイルス「AAV2」を体内に保有している場合、アデノウイルス41型の感染が加わると肝炎を引き起こすようだという。
(2022年7月28日)

報告書など:全米アカデミーズ「パンデミックから力強く立ち上がる―医療システム改革のための優先事項」

2022年半ばまでに、新型コロナウイルス感染症で死亡した米国住民は100万人を超えた。パンデミック準備体制の不備や、長らく放置されてきた医療システムの構造的問題といった課題も浮き彫りになったが、これは改革の機会でもある。全米アカデミーズは米国の医療システムを構成する主なセクターの現場リーダーを集め、各セクターのパンデミック対応と医療システム改革の機会について議論した。新たな医療システムは、1)患者・家族・地域社会を中心に置き、2)臨床医に配慮し、3)ケアシステム・公衆衛生・生物医学研究が力を最大限出せるよう支援し、4)デジタルヘルスおよび品質・安全・標準化団体のイノベーションを取り入れ、5)全ての人のためになる製品を作ることを医療費支払者・メーカー・発明家に促すものでなければならない。
【関連リンク】
https://nap.nationalacademies.org/catalog/26657/
(2022年8月発行)

報告書など:GAO報告書「公衆衛生上の準備体制―COVID-19医療サージおよび関連する保健社会福祉省の取り組み」

新型コロナパンデミックの際、病院には通常の稼働能力を大きく超える数の患者が押し寄せた。保健社会福祉省はそのような数の患者を診療する能力を医療サージと呼称しており、対応するための資金を、あらかじめ各地域に設置していた医療連合を通じて医療機関に提供した。医療連合は各病院の負担を均等化するため患者の移送を調整したり、医療物資を調達・分配したり、病院が必要としていることを州政府に伝達したりした。同省は医療サージに対する病院等の準備体制の支援に取り組んでいるが、その有効性がわかる段階ではない。その取り組みには、医療連合の準備体制の演習、医療連合の2021年の実績から収集した教訓の利用方法の検討、複数の州にまたがる医療ニーズの急増に対応するシステムの計画、地域的対応ガイドライン策定などがある。
【関連リンク】
https://www.gao.gov/products/gao-22-105461
(2022年8月17日発行、48ページ)

FEMA「大規模被災者支援のための合意文書策定方法」

被災者支援においても、NGO(非政府組織)は不可欠でかけがえのない資源、能力、革新的な技術、専門知識を州・自治体に提供している。この手引書の目的は、州・自治体当局者およびNGOが合意覚書(MoA)と了解事項覚書(MoU)の重要性を理解するのを助け、大規模被災者支援の提供を改善するツールを提供することである。既存の資源や能力のギャップおよび相互に提供可能なサービスと支援を、州・自治体とNGOが協力して割り出すのに役立つ。
【関連リンク】
https://nationalmasscarestrategy.org/wp-content/uploads/2022/08/DvlpngMssCareAgrmntsGuide_20220727_508.pdf
(2022年7月27日発行、74ページ)