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歴史的資料の保存・利用


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9月18日 特任助教 粟倉大輔
歴史研究にとって欠かせないのが、現在まで保存されてきた当時の資料である。私の場合は、近代日本が研究対象であるため、国や府県で作成された行政文書、新聞・雑誌の記事、あるいは個人の書簡類といった文書関係のものが特に必要となる(写真や絵画も参考にすることもある)。

私が大学院に進学し、本格的に近代の日本経済史・産業史研究を始めてから十年ほどが経過した。その間の上記のような歴史的資料をめぐる動きについて随分と進んだと感じるのが、資料のデジタル化である。かつては論文の執筆や学会報告の準備のために、国立国会図書館や国立公文書館などの資料館や文書館、図書館に足繁く通い資料収集を行っていた(交通費やコピー代などの支出もそれなりの負担であったが)。それ以外にも、資料所有者のもとに直接伺い資料を閲覧・利用させていただいたこともある。

今でもそうした資料収集をやっていないわけではないが、そのようにして歩き回って集めた資料のうち、現在ではインターネット上に公開されているものも出てきている。私の研究に関連する主なウェブサイトとしては、以下のものをあげることができる。

国立国会図書館デジタルコレクション(http://dl.ndl.go.jp/
国立公文書館デジタルアーカイブ(https://www.digital.archives.go.jp/
国立公文書館アジア歴史資料センター(https://www.jacar.go.jp/index.html

インターネットを接続できる環境にいれば、これらのウェブサイトを通じてパソコンやスマートフォンから資料を見ることができる。また、プリンターを利用することで、資料のプリントアウトも可能とある。

もちろん、すべての歴史的資料がインターネット上で公開されているわけではないし、実際に資料館や文書館などに行かないと見ることができない資料もまだまだある。それでも、デジタル化されることで資料へのアクセス・利用はこれまでよりも容易になるし、また天災あるいは事故などで原資料が失われたとしても、デジタル化されることでその内容を後世の人々も確認することができるだろう。こうしたデジタル化の動きは今後もとどまることはないと思われる。

さて、現在の官公庁や都道府県が作成する公文書も、これから先保存・デジタル化され歴史的資料となり、研究者に利用される時がくるであろう。このほかにも、すでにインターネット上で閲覧できるもの、例えば、政治家などの著名人のブログの内容やSNS上での発言・つぶやきなども歴史的資料としてみなされることになるかもしれない。いずれにせよ、後世の歴史研究者が2000年代あるいは2010年代の日本の政治・経済・社会を研究そして検証し、そこから教訓を導き出すうえで、それらは欠かせない資料となるに違いない。しかしながら、現在の公文書管理、およびそれをめぐる行政側の対応には議論・改善の余地がまだまだ多くあると思われる。どの文書を残すのか、あるいは廃棄するのか、その選択は難しいであろうが、それらは後世の人々が共有し利用し、過去の教訓を得るための遺産となるものである。

公文書および歴史的資料の保存・利用の方向性を誤れば、後世の人々に与えるそのマイナスの影響は決して小さくはないと思われる。