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都市化への取組み、政府より企業が先行(中国)


日本と同様、中国でも、新エネルギーを活用したスマートシティ建設への機運が高まっている。地方政府の動きは慎重だが、ビジネスチャンスを狙う中国企業は、研究・試験・新規事業立ち上げ等を積極的に進めている。

6月21日

2012年年末に開かれた中央経済工作会議では、「都市化は歴史的なミッションであり、内需拡大の最大の潜在力を秘めている」として、都市化を柱とする内需拡大の方針が提起された。主なミッションの一つとして、「エコ文明の理念と原則を都市化の全過程に浸透させ、集約型、インテリジェント、クリーン、低炭素の新型都市化の道を進む」と強調された。都市化の進展が、インフラ建設などの投資需要を喚起するのは間違いない。エコに基づく都市化のあるべき姿について、各メディアにおいて論説が展開された。

人民日報は3月23日に、「美しい中国を建設するために都市化を正しく理解する必要がある」との論説を掲載した。「エコ文明の構築を促進し、美しい中国を建設するためには、都市と農村の間に質の良い相互補完関係を構築し、環境保護に着実に取り組む必要がある」と述べた。なお、同紙は1月18日に「都市化、人は落伍しないように」との論説で、「中国の都市化は、集約化、省エネ、エコの新しい道を歩むべき。市場原則に反した人為的な不動産バブルを防ぎ、ゴーストタウンになることを避け、新型都市化と農業近代化が補い合う発展を促進すべき」と伝えた。

都市化に対する企業の対応について、「南方週末」は3月29日に、「新エネルギー産業に都市化の「翼」を取りつけた。政府はまだ石橋を叩いているが、企業はすでに河を渡っている」とのタイトルの記事を掲載し、次のように伝えた。「地方政府による、新エネルギー産業を活用した都市化の取り組みは、まだコンセプトの構築に止まっており、具体的な施策は明らかにされていない。一方、多くの企業は都市化によりもたらされるビジネスチャンスを狙っている。太陽光発電メーカーの『英利集団』は、都市化に向けて、ソーラー電池のメーカーから、エネルギーのトータル・ソリューション・プロバイダーに転身すると宣言した。同社は、2012年に都市化と『グリーンでエコの建築』の融合を研究する機構を立ち上げ、建築にソーラー発電、雨水回収などのエコ技術を導入する研究を行っている。同社のパイロットプロジェクトは既に河北省の涞源県で始まった。また政府直轄の国有企業である『中国節能』は山東省即墨市で、ソーラータウンの試験を行っている。仕組みは、次のようなものである。村の土地が企業に預けられ、企業はその土地で農場型生産を推進し、農民が小麦500キロ/畝(6.67アール)に相当する収入を得られる。このような形で農民が企業に勤め、また余剰労働力は太陽光発電のハウス栽培に携わることができる。同社は既にこのシステムを地元の48箇所の行政村で進めている。

一方、地方政府と共に都市化計画の策定に関わった企業もあった。太陽光発電メーカーの『龍炎能源』は、2012年に山西省山陰県にて投資環境をリサーチしながら、地元政府の『山陰県産業発展計画』の策定に協力した。但し、企業にとっての難関は、地方政府を説得することである。『企業は、都市化のスピードの最も速い地域を見つけ出したら、直ちに地方政府と交渉を行う。新エネルギーに対して理解のある政府ならいいが、そうでない所への説得はとても時間がかかる』と全国各地の地方政府を回ってきた『龍炎能源』の包剛氏が言った。」

(柯隆 編集)