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3月分


ニュース:豪の林野火災により南半球のオゾン層減少

2019-20年の豪州南東部の大規模林野火災により、南半球上空の成層圏のオゾン濃度が2005-19年の平均よりも下がったとする研究がサイエンス誌に掲載された。豪州の林野火災の影響は一時的なものだとはいえ、林野火災は今後増え続けると考えられるので、オゾン層破壊の新たな原因となり、健康影響は従来考えられていたよりも大きくなることを指摘した。
(2022年3月18日)



ニュース:イベルメクチンは新型コロナ治療に効果がみられない

抗寄生虫薬のイベルメクチンについて一部で期待された、新型コロナウイルス感染症を治療する効果の、過去最大規模の臨床試験の結果が公表された。患者の症状の改善に偽薬との差異はみられず、新型コロナウイルス感染症に対する医療的効果は一切認められなかったという。臨床試験はカナダのマクマスター大学が1358人を対象におこなった。他にも米国立衛生研究所とオックスフォード大学が、イベルメクチンの新型コロナウイルス感染症に対する有効性の臨床試験を継続中である。
(2022年3月18日)



ニュース:米コロナ対策調整官退任

米大統領府の新型コロナウイルス感染症対策調整官のジェフ・ザイエンツ氏が4月に退任することが明らかになった。後任はブラウン大学の公衆衛生学部長のアシシュ・ジャー氏。ザイエンツ氏の下で副調整官を務めているナタリー・キリアン氏も退任する。
(2022年3月17日)



ニュース:衛星通信のサイバーセキュリティ強化を米当局が勧告

米国土安全保障省サイバーセキュリティ・インフラセキュリティ庁(CISA)とFBI(連邦捜査局)は、米国内外の衛星通信ネットワークに対する脅威が増しているとして、共同でサイバーセキュリティ勧告を発した。米国の重要インフラ運営組織、衛星通信事業者およびその顧客企業に、衛星通信ネットワークのサイバーセキュリティ被害の予防・軽減策の検討と導入を促した。
【関連リンク】
https://www.cisa.gov/uscert/ncas/alerts/aa22-076a
(2022年3月17日)

ニュース:モルヌピラビルの使用増加に懸念の声

メルク社の抗ウイルス薬のモルヌピラビルは、新型コロナウイルス感染症の治療薬として米国の食品医薬品局(FDA)の緊急使用許可を受けた後、予想以上に使用が増えており、規制当局や医師から懸念の声が上がっている。3月15日付ウォールストリートジャーナルが報じた。ファイザー社のパクスロビドは、モルヌピラビルより高い効果が実証されているので、治療薬の主力となると考えられていた。しかし、パクスロビドは入手しにくかったり、患者がすでに服用している薬によっては飲み合わせのリスクがあったりするので、モルヌピラビルの使用が増えているという。治験の結果では、モルヌピラビルの有効率は30%とパクスロビドの90%よりはるかに低かったうえに、ウイルスの変異の頻度を高めたおそれがある。非臨床試験はモルヌピラビルに催奇性があることを示唆している。
(2022年3月15日)

ニュース:アジアの新型コロナ死者が100万人超える

人類の過半数が住むアジアの新型コロナウイルス感染症死者数が、3月11日に100万人を超えたとロイター通信社が報じた。これは世界の16%にあたる。マレーシア、シンガポール、韓国、タイ、ベトナムの新規感染者数が記録更新を続ける一方で、インド、インドネシア、フィリピンでは峠を越え、急速に減っている。日本、韓国、香港では死者数が急増しており、とくに高齢者へのワクチン接種が進まない香港では、人口比当たりの死者数が世界最悪レベルとなっている。
(2022年3月11日)

ニュース:新型コロナが動物の体内で変異か

カナダのオンタリオ州南西部で、高度に変異した新型コロナウイルスが、オジロジカから見つかった。発見したサニーブルック研究所とトロント大学のウイルス学者によると、変異はおそらく2020年後半に始まったという。オジロジカと接触歴のある近隣住民1人からもよく似た新型コロナウイルス変異株が見つかっており、シカからヒトへの感染の初めての証拠となった。ただし、査読前の発見であり、また、オジロジカから見つかった変異株がヒトの免疫系から逃避することができるという証拠はない。なお、ヒトには見られなくなった新型コロナウイルスのアルファ株が、米ペンシルバニア州のシカの間で変異を続けていることを報告した研究もあり、動物が変異株の温床となる可能性が指摘された。
(2022年3月2日)

技術研究情報:世界の新型コロナ死者、実際には3倍以上

米ワシントン大学の研究チームは、近年の死者数との比較によりパンデミック期間中の超過死亡を世界191か国・地域ごとに推計したところ、公表値の3倍近い1800万人以上が新型コロナウイルス感染症により死亡したと考えられると発表した。超過死亡がもっとも多かったのはボリビア、ブルガリア、エスワティニといった途上国で、逆にアイスランド、オーストラリア、ニュージーランド、台湾、シンガポールなどでは少なかった。研究成果はランセット誌に掲載された。
【関連リンク】
https://www.thelancet.com/journals/lancet/article/PIIS0140-6736(21)02796-3/fulltext
(2022年3月10日)

技術研究情報:自然災害による死因の変化を分析―米コロンビア大

熱帯低気圧発生後の数か月間に、特定の死因による死亡が最大33.4%も増えることがコロンビア大学などの研究で明らかになった。33.4%増えたのは負傷による死亡率で、他に感染症や寄生虫性疾患は1.8%、呼吸器疾患は1.3%、心疾患は1.2%、神経精神疾患は1.2%、死亡率が増えている。
【関連リンク】
https://www.publichealth.columbia.edu/public-health-now/news/hurricanes-and-other-tropical-cyclones-linked-rise-us-deaths-several-major-causes
(2022年3月8日)

技術研究情報:事故現場を通過する運転手の視野を解析

交通事故現場の作業員の安全確保は長年の懸案である。緊急対応要員安全研究所(ERSI)「緊急車両の照明の特徴が運転者の知覚と行動に与える影響」に関する研究報告書を発表した。夜間の照明の色・光度・変調・点滅間隔の効果や、照明が運転者を事故現場へ誘引する「誘蛾灯」効果の有無を検証した。もっとも予想外だった結果は、沿道に配置した点滅灯の後ろに反射式シェブロンマーカーを置くと、逆に作業員が運転者から見えにくくなる可能性があることだった。
【関連リンク】
https://www.respondersafety.com/news/news/2022/01/new-study-of-driver-perception-of-emergency-warning-lights-and-retroreflective-markings-commissioned-by-the-emergency-responder-safety-institute-yields-surprising-findings/
(2022年3月3日、24ページ)


報告書など:スティーブン・コリアー、アンドリュー・レイコフ『緊急事態の統治―不可欠なシステム、専門知識、安全保障の政治』

米政府は、感染症パンデミックから地球温暖化に起因する自然災害、サイバー攻撃に至るまで、さまざまな緊急事態に対応する組織や専門知識を備えているが、これまでのシステム構築には変遷があった。世界恐慌、第二次世界大戦、冷戦などを経て、米国は不可欠であると同時に脆弱なシステムを構築し、技術的・行政的手法を用いて脆弱性を減らそうと努めてきた。現行のシステムには長所と短所があり、その構成を理解することは、われわれが直面する危機への対処に役立つ。
【関連リンク】
https://press.princeton.edu/books/paperback/9780691199283/the-government-of-emergency
(2021年発行、480ページ)




報告書など:米シークレットサービス「ホット・ヨガ・タラハシー―女性憎悪的過激主義による銃撃事件の事例研究」

2018年、フロリダ州タラハシーのヨガスタジオで男が発砲、女性6人が撃たれ、うち2人が死亡し、犯人は自殺した。動機は女性憎悪に発するものと分析された。本報告書では、犯人の生い立ちや背景、事件前に起こしていた主に女性に対する問題行動などを精査し、女性憎悪に基づく過激主義の危険性を検証する。
【関連リンク】
https://www.secretservice.gov/newsroom/releases/2022/03/secret-services-latest-research-highlights-mass-violence-motived-misogyny
(2022年3月発行、28ページ)



報告書など:GAO報告書「COVID-19―国務省は今後の危機発生時に在外公館の業務を適切に継続できるように政策を強化する必要がある」

米国務省の運営する在外公館には、米政府の26機関の職員が勤務している。新型コロナウイルス・パンデミックのため、海外に駐在する文官の多くは米国へ退避することになり、一部の大使館・総領事館は2020年に過半数の職員が欠員となった。テレワークで補える部分もあったが、一部の大使館・総領事館は、どの職員が残って業務を継続すべきかを決めるのに十分な情報がなかったと報告している。GAO(米議会の政府監査院)は、国外退避の方針を含め、今後の危機に対する国務省の準備体制を改善する方法を推奨する。
【関連リンク】
https://www.gao.gov/products/gao-22-104519
(2022年3月16日発行、64ページ)

報告書など:GAO報告書「運輸保安―運輸保安庁によるCOVID-19保安指令の関係者との調整作業」

新型コロナウイルス流行を受けて、2020年1月以後、米大統領の行政権の行使により、特定国から米国への空路による渡航が制限され、公共交通機関ではマスク着用が義務付けられた。これらの大統領令を実施するため、運輸保安庁(TSA)は運輸システムの運営者に保安指令を発し、他省庁や業界団体など外部の利害関係者との調整をおこなった。通常のセキュリティ指令は策定に数か月を要するが、パンデミック対策の大統領令については、運輸保安庁は1週間以内に指令を発しなければならなかった。GAOが調査した利害関係者によると、運輸保安庁による調整はおおむね効果的だったという。
【関連リンク】
https://www.gao.gov/products/gao-22-104583
(2022年3月14日発行、51ページ)



報告書など:米国土安全保障省「国内の暴力的過激派に関する省内調査の所見、調査結果、推奨策」

米国土安全保障省のマヨルカス長官は、国内の暴力的過激派に関連する省内の脅威をいかに防止・発見し対処するかを包括的に検討する部会(国内の暴力的過激主義に関する省内調査作業部会)を設置した。国土安全保障省職員が国内の暴力的過激主義に関与している例はほとんど見つからなかったものの、同部会は、省内の潜在的脅威を包括的に防止・発見し対処するうえで障害となる重要なギャップが複数あると評価した。例えば、「国内の暴力的過激主義者」とその行動が公式に定義されていないし、暴力的過激主義活動を識別・報告する訓練が職員に行われていない。
【関連リンク】
https://www.dhs.gov/publication/dhs-report-domestic-violent-extremism-internal-review
(2022年3月14日発行、20ページ)

報告書など:全米アカデミーズ「全米の医療物資サプライチェーンに回復力を組み入れる」

全米アカデミーズは全米医療物資サプライチェーン安全保障に関する委員会を招集し、医療物資不足の根本的な原因を検証し、平時および公衆衛生上の非常事態発生時に、より回復力のあるサプライチェーンを構築するための方法を検証した。委員会が出した7つの推奨策を概観し、被害の最小限化、準備体制、対処方法などサプライチェーン防護のための枠組みを提示する。
【関連リンク】
https://nap.nationalacademies.org/catalog/26420/
(2022年3月発行)



報告書など:NIST「原野と都市の境界地域における火災リスクの減少法」

近年、未開の原野と都市の境界地域における火災が大規模になっており、包括的なリスク評価と同時に、境界地域の建築物の被害を減らす対策が急務となっている。米国立標準技術研究所(NIST)が発行した、火災被害を軽減するための建築物の防火構造化や、周辺の可燃物の撤去などのガイドライン。
【関連リンク】
https://nvlpubs.nist.gov/nistpubs/TechnicalNotes/NIST.TN.2205.pdf
(2022年3月発行、77ページ)



報告書など:GAO報告書「重要インフラ防護―CISAは優先順位付け、関係者の関与、脅威情報の共有を改善する必要がある」

米国土安全保障省サイバーセキュリティ・インフラセキュリティ庁(CISA)の全国重要インフラ優先事業の目的は、機能が停止・中断した場合に全国的または地域的に破局的影響を及ぼす重要なシステムや資産を割り出すことである。しかし、全米56の州・準州・特別区のうち、2017年以後も全国重要インフラ優先事業に最新情報を提供しているのは14州しかない。重要インフラ関係者の優先順位の妥当性を保証するためには、優先順位付けのプロセスがサイバー攻撃など現在の脅威を反映しており、より多くの州の情報を取り入れていることが重要である。
【関連リンク】
https://www.gao.gov/products/gao-22-104279
(2022年3月1日、61ページ)



報告書など:IPCC「気候変動2022年―影響、適応、脆弱性」

気候変動に関する政府間パネル(IPCC)の第6次評価報告書(AR6)のうち、第2作業部会による部分で、生態系、生物多様性および人間社会への気候変動の影響を、地球規模および地域レベルで評価した。人間活動を原因とする気候変動は加速しており、多くの人々の生活を脅かすと同時に、植物や動物の生態系にも危機をもたらしている。33億人ないし36億人が、気候変動に対してかなり脆弱な状況で生活している。危機を回避するため今まで実際に取られた措置は、必要な措置に遠く及ばない。本報告書は、人間と自然環境に対するリスクを減らすための気候変動適応策や、気候変動に対する回復力を備えた開発に関する知見も提供する。
【関連リンク】
https://www.ipcc.ch/report/sixth-assessment-report-working-group-ii/
(2022年2月27日発行)


報告書など:国連環境計画「燎原の火―増大する大規模林野火災の脅威」

気候変動と土地利用の変化は林野火災のリスクを増大させており、以前は考えられなかった地域にまで及んでいる。大規模林野火災は2030年までに14%、2050年までに30%、2100年までに50%増加すると予測されている。制御できない林野火災は人々の生活を脅かし、生態系の多様性にも壊滅的な損害を与える。国連環境計画は早急な林野火災対策を各国政府に求める。
【関連リンク】
https://www.unep.org/resources/report/spreading-wildfire-rising-threat-extraordinary-landscape-fires
(2022年2月23日発行、126ページ)