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8月分


ニュース:ハワイ・マウイ島山火事は米史上最悪の林野火災

米ハワイ州マウイ島で8月8日に起きた山火事により、23日までに115人が死亡、388人が行方不明となっている。被害のほとんどをもたらしたマウイ島西部のラハイナの火災は、干ばつで乾燥した状態が続いていたところに、南方沖のハリケーンによる強風が急峻な山から吹き下ろして電柱が折れ、落下した送電線の火花により草が発火し、急速に燃え広がった。サトウキビなどのプランテーションの跡地に、牧草として持ち込まれた島外の草が繁殖し、燃えやすくなっていたことも指摘されている。マウイ島に設置された警報サイレン80台は鳴らず、当局から火災発生の知らせを受けなかったという島民の声も報道されており、マウイ郡危機管理局の対応にも疑問が呈されている。19世紀前半のハワイ王国の古都ラハイナでは歴史的建造物の多くが全焼した。バイデン大統領は大規模災害を宣言し、ハワイ州への支援を指示した。ハワイ州の史上最悪の災害、過去100年の米国で最悪の林野火災となった。マウイ郡危機管理局は、再建にかかる費用は55億ドル(7900億円)を超えると推定している。
(2023年8月23日)

ニュース:老朽化する電力網が米国の林野火災の火元に

強風で切れた電線が火元になったと考えられるマウイ島の大規模林野火災をきっかけに、電力網の老朽化が米国で議論を呼んでいる。マウイ島以前の米国の林野火災で最悪の被害を出した2018年のキャンプ火災の火元も、切れた高圧送電線だとカリフォルニア州当局は判断した。近年の温暖化で電力需要は高まっており、旧式のシステムは容量を超えた電力供給を常に求められ、大きな負荷がかかっている。電力網を近代化するのにかかる費用を全米州議会協議会が2021年に見積もったところ、信頼性を維持するための最小限の更新だけでも2030年までに1.5兆ドル(217兆円)以上かかるとの結論を得ていた。今後、電源の多様化やインフラの更新などに多額の投資が必要になることは明らかだ。
(2023年8月19日)

ニュース:カナダ西部で大規模林野火災

カナダのブリティッシュコロンビア州で発生した大規模な林野火災が延焼し、同州最大の都市バンクーバーの約300キロ東に位置するケロウナ市とウェストケロウナ市に緊急事態が宣言され、一部地域の住民に避難が命令された。州当局は避難するための時間は残っているとして冷静な行動を呼びかけているが、強風によって今後数日間で避難が難しくなることが懸念されており、航空機を手配するなどして住民の避難を急いでいる。ノースウェスト準州でも林野火災が続発し、州都イエローナイフから約2万人が命令により避難した。
(2023年8月18日)

ニュース:新たなオミクロン派生株ウイルスBA.2.86

WHO(世界保健機関)は新型コロナウイルスのオミクロン派生株BA.2.86を「監視下の変異株」に指定し、感染経路と重症度を監視することを決めた。8月18日現在の感染例は世界4か国で5件にとどまっているものの、変異が多いので監視を要すると判断した。
(2023年8月18日)

ニュース:FEMAはハリケーンシーズンを前に財政難

米国のハリケーンシーズンが迫る8月17日、FEMA(連邦危機管理庁)のクリスウェル長官は、災害支援金が8月中に尽きて災害復旧事業が遅れるおそれが強いと述べた。マウイ島の林野火災被害への初期対応は可能だが、米議会が120億ドル(1兆7400億円)の補正予算法案を可決しなければ、来年に先送りすることになる復旧作業が多いという。また、必要な資金は120億ドルを超える見込みがあり、金額を査定中だとも述べた。今後の災害への備えもFEMAの災害支援金の用途だが、財政難にあって、マウイ島の林野火災のような現在の災害への対応を優先させることになる。災害準備に資金を出せない中、大統領による大規模災害宣言を受けて米政府の資源を利用できるようになるまで何日もかかると、復旧着手が遅れる。
(2023年8月18日)

ニュース:新型コロナウイルスEG.5のワクチン開発が進む

ファイザー社とモデルナ社はそれぞれ、自社の最新の新型コロナウイルスワクチンが、オミクロン株の派生型EG. 5に有効だとマウスへの実験で確認されたと発表した。EG.5は、現在の米国における新型コロナ感染の17%を占める。
(2023年8月17日)

ニュース:オミクロン株派生型ウイルスEG.5の感染が世界で拡大

WHO(世界保健機関)は8月9日、新型コロナウイルスの感染が世界中で再び拡大する中、とくにオミクロン株の派生型EG.5の報告例が増えているとして、公衆衛生への影響が予測される「注目すべき変異株」に指定した。米国のCDC(疾病予防管理センター)によると、EG.5は米国と英国における新型コロナウイルス感染の比較多数を占めている。オミクロン株のように感染力が強く免疫を回避するので、さらなる感染拡大のおそれがある。その一方で、現行の治療薬やワクチンが有効であり、症状は在来のオミクロン株と比べて重くないという。
(2023年8月9日)

ニュース:スロベニアで未曽有の洪水被害

中央ヨーロッパのスロベニアで8月3-4日に大雨が降り、河川が氾濫する洪水が発生して3人が死亡、国土の3分の2が被災した。ゴロブ首相によると、スロベニア独立後最悪の自然災害であり、被害額は5億ユーロ(約783億円)に上る。電力インフラの被害がもっとも大きい。数百軒の建物が破壊され、主要幹線を含む道路や多くの橋も損傷している。スロベニアなどアルプス諸国はこの夏、暴風雨の被害をたびたび受けており、すでにスロベニアで1人、他の国で4人が死亡していた。
(2023年8月5日)

ニュース:米大統領が職場の暑さ対策を指示

バイデン米大統領は7月26日、米国の広範囲に影響を及ぼしている熱波に対する措置を発表した。労働省は工事現場や農業など屋外で働く人々のために安全対策の周知と執行を強化し、国立海洋大気庁(NOAA)は天気予報の改善に投資し、内務省は干ばつに見舞われている西部の州における飲料水備蓄や水の再利用に投資する。
(2023年7月27日)

ニュース:次世代の緊急事態対応のしくみを米エネルギー省の機関が研究

将来の緊急事態対応のしくみを再構想し強化する研究のため、米国土安全保障省科学技術局は、エネルギー省パシフィック・ノースウェスト国立研究所に1億6700万ドル(234億円)を授与した。次世代の危機管理センターの開発、州・自治体の危機管理当局者のコミュニケーションと調整の改善、緊急事態対応能力の向上、災害の社会的・経済的コストの削減をめざす。
(2023年7月26日)

ニュース:アルジェリアで大規模な林野火災

熱波の続く北アフリカのアルジェリア東部とチュニジア西部で林野火災が発生し、チュニジア北西部のマルーラでは軍が住民2500人を避難させた。アルジェリア内務省によると、気温が48度に達する中で強風が吹き荒れ、16県の97か所で火災が発生し、住宅地周辺の林野火災で兵士10人を含む34人が死亡、住民1500人が避難した。アルジェリアでは毎夏、林野火災が発生するが、今年は地中海沿岸諸国の記録的熱波により状況が悪化している。チュニジアでは7月24日、気温が49度に達し、軍はヘリコプターによる空中消火をおこなっている。アルジェリアのメディアによると、被害がとくに大きなベジャイア県とジジェル県では検察官が火災の原因を調査するよう指示した。アルジェリアをはじめ北アフリカはかねてから「地球温暖化のホットスポット」と科学者に指摘されている。
(2023年7月25日)

ニュース:WHOがデング熱のリスク増加を警告

WHO(世界保健機関)は、温暖化により蚊の繁殖が増えており、今年はデング熱の感染者数が史上最多となるおそれがあると警告した。デング熱は世界中で年々増え続けており、2000年から22年の間に患者数は8倍に増え、420万人に達した。欧州各地で患者の急増が報告されているほか、南米のペルーは国土の大半でデング熱に関する緊急事態を宣言している。南北アメリカでは今年、すでに300万件近い感染例が報告されている。WHOは今年1月にも、デング熱は感染拡大のスピードがもっとも速い熱帯病であり、パンデミックの脅威をはらんでいると警告している。
(2023年7月21日)

研究開発情報:被災地支援に適した水素トラック

災害被災地へ支援に入り、燃料補給なしで72時間稼働する水素トラック「H2レスキュー」を、米国土安全保障省科学技術局と官民の協力相手(陸軍工兵司令部、国防総省、エネルギー省、カミンズ社、FEMA=連邦危機管理庁)が試作し、試運転している。移動指揮所に加えて貨物15トンを搭載し、燃料電池により住宅15軒分の電力を3日間供給できる。将来は排気ガスの水蒸気を飲料水に変換する機能を備えることを予定している。H2レスキューの燃料電池をふつうに稼働させると、満タンの水素から数百ガロン(約1トン)の飲料水を製造できる。現在は停電した被災地を陸軍工兵司令部が実地調査して適切なディーゼル発電機を指定し、発電機と技師がディーゼルトラックで輸送されるが、H2レスキューは設置場所の実地調査も技師も必要としない。
【関連リンク】
https://www.dhs.gov/science-and-technology/news/2023/08/17/feature-article-using-hydrogen-power-disaster-relief
(2023年8月17日)

研究開発情報:水漏れする堰を用いた洪水管理―英カーディフ大学研究

ビーバーのダムのように木の枝・幹・葉など自然の材料を用いて、水漏れするように設計された堰(せき)は、洪水の緩和だけでなく生態系や水質改善のためにもなるので、利用が増えており、在来型の構造物を補完している。英カーディフ大学とウースター大学工学部の共同研究チームはイングランドのシュロップシャーの小さな川に設置された、水漏れする堰の効果を2年間研究した。ここでは4.8キロメートルにわたって105の堰が設置され、上流の水位を上げて流れを減速することで、川の中と近隣の農地の生態系を保護している。2020年2月の温帯低気圧「デニス」のような暴風雨においても、堰ごとに水位を0.8メートル上げることで合計1万立方メートルの水を貯え、7-9日間かけて放流することで洪水を防いだ。
【関連リンク】
https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0022169423006868?via%3Dihub
(2023年8月9日)

研究開発情報:炭素・セメント電気二重層コンデンサによる安価な大容量蓄電

化石燃料から再生可能エネルギーへの転換の程度と速さは、大容量電力貯蔵の可能性にかかっている。マサチューセッツ工科大学(MIT)の研究チームはセメント、水、カーボンブラックという安価な素材を用いて、大規模化が可能なコンデンサ(蓄電器)の開発に成功した。炭素を混ぜたセメントの水和反応により、セメントの耐荷重構造の中に導電性炭素のフラクタル状ネットワークを形成した。この炭素・セメント電気二重層コンデンサの容量は示強性の量(計測する物質の量によって変わらない物理量)であり、電流容量は自己相似である。それゆえ、構造用コンクリートのような電気二重層コンデンサを、電力自給シェルター、充電道路(走行中給電システム)、風力発電した電力の貯蔵など、住宅や産業へのさまざまな応用を期待できる。
【関連リンク】
https://www.pnas.org/doi/10.1073/pnas.2304318120
(2023年7月31日)

研究開発情報:大西洋南北熱塩循環が今世紀半ばに止まるおそれ

大西洋南北熱塩循環(AMOC)は、熱帯の温かく塩分の濃い海水を北大西洋まで表層で運び、逆に冷たい海水を熱帯まで深層で運ぶことで、気候に大きな影響を与えている。コペンハーゲン大学の研究チームによると、温室効果ガスの排出に関する可能性の高いシナリオでは、この循環が今世紀半ばに止まる。研究結果はネイチャー・コミュニケーションズ誌に掲載された。気候変動に関する政府間パネル(IPCC)は、AMOCが止まれば欧州が乾燥したり、熱帯雨林帯が南へ移動したりする劇的な影響を予測する一方で、AMOCには回復力があるので21世紀中に完全に止まるおそれは低いと予測していた。
【関連リンク】
https://www.nature.com/articles/s41467-023-39810-w
(2023年7月26日)

研究開発情報:自己完結型マイクログリッド―アイダホ国立研究所

米エネルギー省アイダホ国立研究所は「箱入り小規模電力網」を開発し、アイダホ州の小規模水力発電所に配備した。このシステムは水力、太陽電池パネル、風力タービン、ディーゼル発電機、小型原子炉などさまざまな電源の統合と最適化を可能とし、遠隔地、送電線のない場所または緊急時・停電時に、確実で回復力のある電力を約250キロワットまで供給する。正式名称は「代替電力の送電を改善する移動可能で回復力のある箱入り小規模電力網(RAPID MIB)」という。民間企業および政府部門の電力消費者と共同開発した。今回配備された小規模水力発電所はアイダホ州東部のティートン川にあり、フォール・リバー電力協同組合が所有している。その電力と箱入り小規模電力網を用いて、停電時のブラックスタート機能(外部電源より発電された電気を受電することなく停電解消のための発電を始める機能)を示した。
【関連リンク】
https://inl.gov/water-power/new-tech-brings-resilience-to-small-town-hydropower/
(2023年7月21日)

報告書など:GAO報告書「公衆衛生準備体制―保健福祉省の緊急予備資金」

パンデミックであれハリケーンであれ、緊急時に公衆衛生は大きなリスクにさらされる。米国内における公衆衛生緊急事態の対応は、州・自治体が指揮するのがふつうだが、州・自治体の対応能力を超えた場合は保健福祉省が支援する。そうした緊急事態に即応できるように、保健福祉省は必要に応じて支出可能で、複数年度にわたって繰り越すことのできる予備資金を2種類蓄えている。公衆衛生緊急資金および感染症即応予備資金である。公衆衛生緊急資金は異常な気象現象、感染症、放射能・核爆発事態を対象としているが、過去25年以上、補充も支出もされていない。感染症即応予備資金のほうは、2019-23年度に8億ドル(950億円)補充され、2020年度から23年5月までに2億1100万ドル(250億円)が新型コロナウイルス感染症、エボラ出血熱、エムポックス(サル痘)の検査などに支出された。保健福祉省当局者は、常に柔軟に支出可能で確実に補充される資金は、出現した感染症の脅威が悪化する前に対応するのに役立つと評価する一方で、緊急の使途はさまざまであり予測困難な場合もあると指摘した。
【関連リンク】
https://www.gao.gov/products/gao-23-106102
(2023年8月15日発行、31ページ)

報告書など:国連アジア太平洋経済社会委員会「2023年アジア太平洋災害報告書 機会を逃すな―変革的な災害リスク回復力をめざす」

極端な気象現象が頻繫化・激甚化する中、アジア太平洋は世界一の災害多発地域となっている。災害リスクのホットスポットとなっている地域は、災害がますます頻繁化・激甚化するおそれが強いし、災害リスクの新たなホットスポットが出現するおそれも強い。人命とこれまでの開発の成果を守るためには変革的な適応措置が欠かせない。マルチハザードの早期警戒システムの配備、早期警戒能力や自然に基礎を置いた解決策を開発するためのイノベーションや科学的躍進への投資を増やす必要がある。今すぐ対策をとらなければ地球の平均気温は1.5度ないし2度上昇して適応可能な限界を超え、持続可能な開発を妨げることになる。アジア太平洋地域の協力体制を拡大し、災害回復力の構築が災害リスクに追い越されることのないように備える必要がある。
【関連リンク】
https://www.unescap.org/kp/2023/seizing-moment-targeting-transformative-disaster-risk-resilience#
(2023年7月26日発行)