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ニュース:FEMAが被災者支援を強化

米国のマヨルカス国土安全保障長官とクリスウェルFEMA(連邦危機管理庁)長官は、災害被災者が支援を得るための手続きを簡素化し、支援金の給付を迅速化し、住居支援の選択肢を増やすために、FEMAの被災者支援政策を改めると発表した。マヨルカス長官によると、FEMAの従来の被災者支援は、貧困などの理由で災害の被害を不釣合いに受ける地域・人々の速やかな復旧には不十分だった。今後、被災者に支援金を給付する災害では、もっとも支援が必要な時期に柔軟に給付するため、1世帯当たり750ドル(11万円)の重大ニーズ支援をおこない、長期避難者には借家を探す間の住居費を補助する。より多くの被災者を支援して復旧を加速し、災害に強い復興を促すため、貸付や住宅修理費補助の手続きを簡素化し、受給資格を拡大する。クリスウェル長官によると、FEMAの被災者支援政策改定は過去20年でもっとも大きく変わり、借家住まいの低所得者やマイノリティを含め、より多くの被災者を支援できるようになるという。
(2024年1月19日)

ニュース:米国で消防・緊急車両の注文が急増、長納期化

米国で消防や空港救助用車両など防災・危機管理用の大型車両・機器に注文が殺到し、メーカーによっては納期が2026年以降になっている。インフラ・半導体・国家安全保障関連事業への投資を促す、バイデン政権のインフレ軽減法やCHIPSおよび科学法の効果といえる。また、新型コロナウイルスパンデミック時のサプライチェーン問題を受けて米国内に製造拠点を戻すメーカーが増えたこと、安全保障上重要な国内の製造業を保護・育成する必要性が広く感じられるようになったこと、パンデミック時に支出を控えてきた自治体や州政府がインフラへの支出を費やしていることも背景にある。
(2024年1月19日)

ニュース:英国・欧州で疥癬の感染が拡大

ヒゼンダニが皮膚に侵入・寄生して起こり、人から人へ感染する皮膚病の疥癬が、英国など欧州で感染拡大している。学校や介護施設のように人が長時間密集している場所で感染しやすい。かゆみは知られている皮膚疾患のなかでもっとも激しい。通常疥癬は頭や陰部を除いた全身、角化型疥癬は全身に広がる。英国では感染が平年の冬の2倍拡大しており、主な原因は治療の不足である。疥癬治療薬は、英国では主にペルメトリン、場合によりマラチオンが処方されるが、両方とも不足している。サプライチェーンが新型コロナウイルスパンデミックの影響を受け、また、ブレグジットにより輸入コストが増加したためだ。さらに、疥癬には不衛生な人が感染するという誤った認識によるスティグマがあるので、診療をためらう感染者も多いと考えられる。近年のヒゼンダニはペルメトリンやマラチオンのような外用薬に耐性を示すことが多く、治療の失敗率は最大3割に上る。イベルメクチンの内服は有効だが、英国では疥癬治療薬として認可されていない。
(2024年1月19日)

ニュース:米政府が中国製ドローンによるデータ収集を警戒

米国のFBI(連邦捜査局)とサイバーセキュリティ・インフラセキュリティ庁(CISA)は17日、中国製無人航空機システム(ドローン)が米国の重要インフラに「深刻なリスク」をもたらしていると警告するサイバーセキュリティ指針を共同発表した。エネルギー、化学、通信といった重要インフラ部門では、費用の節約と職員の安全確保のためドローンの使用が増加している。中国の法令によれば、中国政府は中国企業の保有するデータにアクセスする権限がある。それゆえ重要インフラで中国製ドローンを使用すると、機密情報が中国当局に流出して、米国の国家安全保障、経済安全保障、公衆衛生および公衆の安全を脅かすリスクが生じる。FBIとCISAは重要インフラ企業に中国製ドローンを使用しないよう呼びかけている。また、ドローンのデータがどこに保存・共有されているかを把握し、ファームウェアが適切に更新されていることや、収集したデータをドローンに保存しないことを確認するよう求めている。
(2024年1月18日)

ニュース:米国立科学財団のサイバーセキュリティ奨学金制度

米国立科学財団(NSF)はフロリダ・アトランティック大学工学・コンピュータ科学院にサイバーコー(CyberCorps)奨学金制度を設立するため、260万ドル(3億8500万円)を出資した。サイバーコーは米政府、州政府、自治体で働くサイバーセキュリティ専門家の養成を目的として、米国立科学財団、国土安全保障省、人事管理局が設置した。現在41州、ワシントンD.C.およびプエルトリコの大学が参加している。
(2024年1月18日)

ニュース:アイスランド火山噴火、避難住民は移住が必要

アイスランド南西部のレイキャーネス半島の火山が、昨年12月に続いて1月14日に再び噴火し、溶岩流が漁村グリンダヴィーク付近に達した。避難が間に合って人的被害は免れたが、溶岩はグリンダヴィークの北側の防壁をそれて南側に流れ、一部の住居が焼失した。噴火は翌15日に止まった。しかし、避難住民3700人はアイスランド全人口の1%に上り、噴火活動が10-20年続くとされるなか、受け入れと長期的な住居計画が課題となっている。避難住民は現在、ホテルや避暑用の別荘、賃貸アパートなどに身を寄せている。国内の銀行は避難住民の住宅ローン返済を猶予したが、避難住民の大半は家屋の焼失など直接の被害を受けていないので、保険金も下りず八方塞がりという人も多い。アイスランド議会は、国が被災地の住宅を全部買い上げて、安全が確認された際には買い戻す権利を住民に与える法案を審議中である。
(2024年1月18日)

ニュース:コロナ遺伝情報、中国国内で19年末に特定か―米下院委員会

新型コロナウイルスのゲノム(全遺伝情報)の解析は、中国政府が世界保健機関(WHO)と情報を共有する2週間前には終わっていた可能性が高いことが、米下院エネルギー・商業委員会の調査でわかった。北京の中国医学科学院病原生物学研究所の任麗麗博士は2019年12月28日、米国立生物工学情報センター(NCBI)の遺伝子配列データベースGenBankに新型コロナウイルスのゲノムを提出した。NCBI側は公開に必要な追加情報を博士に求めたが回答が得られなかったため、提出されたゲノム情報を未公開のまま消去した。中国政府は20年1月12日、ゲノム解析の完了を世界保健機関(WHO)に報告したが、そのゲノムは任博士がNCBIに提出したのとほぼ同じだったという。2020年1月初めに中国政府が国内の研究所に対し、新型コロナウイルスに関連する遺伝子情報を公表しないよう指導していたことも判明している。当時の感染症流行の原因が新型コロナウイルスだといつ知ったのかについて、中国政府が隠し事をした可能性が指摘された。
(2024年1月17日)

ニュース:ポリオは引き続き、国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態

世界保健機関(WHO)の国際保健規則(IHR)に基づくポリオウイルスの国際的拡大に関する緊急委員会は12月22日、その感染拡大のリスクが引き続き「国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態(PHEIC)」であることで一致し、同事態および感染国に対する暫定勧告をさらに3か月延長するよう勧告した。国際的に感染を拡大させるリスクがある野生1型(アフガニスタン、パキスタン、マラウイ、モザンビーク)、ワクチン1型(コンゴ民主共和国、マダガスカル、マラウイ、モザンビーク)の感染が確認された国には、ポリオ撲滅に必要な全ての手段を講じることなどを勧告した。ワクチン2型の感染が確認された28か国(マラウイ、モザンビークを含む)には、市中感染の有無を早急かつ集中的に調べることなどを勧告した。また、4週間以上の滞在・渡航を予定している人に予防接種を促すよう、上記の国に勧告した。さらに、過去24か月以内に野生1型またはワクチン1型の感染を経験した10か国には、通常の予防接種の強化やサーベイランスの質の改善を呼びかけた。
(2023年12月22日)

研究開発情報:被災地で利用可能な携帯型アンテナ

携帯電話や無線の基地局が地震や洪水のため被災して機能を失った地域にも簡単に搬入・設営できる携帯型アンテナを、米スタンフォード大学とベイルート・アメリカン大学の研究者チームが開発した。軽量で、小型に折り畳んで運び、同じ消費電力で衛星通信モードと地上通信モードを切り替えることができる。研究者チームは、このアンテナを宇宙機器のような手法で設計した。ロケットで打ち上げる機器はできるだけ軽量・小型でなければならず、衛星軌道に乗ったら、用途に合った形に展開する。このアンテナの試作品は質量40グラムで、折り畳むと高さ3センチ弱、直径13センチ弱となる。4線ヘリカルアンテナで、螺旋4本のそれぞれが電波を出すが、アンテナを伸び縮みさせることで電波信号のパターンと強さを調節できる。成果を記述した論文はネイチャー・コミュニケーションズ誌に掲載された。
【関連リンク】
https://doi.org/10.1038/s41467-023-44189-9
(2024年1月19日)

研究開発情報:つる植物のように成長するロボット―災害時の活躍に期待

光や圧力などの刺激に反応して、つる植物のように成長するロボットの開発が進められている。イタリア技術研究所のチームがFiloBotと名付けたこのロボットは、溶かしたプラスチックをボディ部分から押し出して自身のボディを3Dプリントすることで、毎分数ミリメートルのペースで、つる植物のように成長する。ロボットの頭部は細いホースで基幹部と接続されており、プラスチックが常に供給される。崩壊した建物の中でがれきを避けてゆっくりと隙間のある方向に伸びることが可能で、捜索救助活動など、災害時の予測がつかない状況下での活用が期待されている。論文はサイエンス・ロボティクス誌に掲載された。
【関連リンク】
https://doi.org/10.1126/scirobotics.adi5908
(2024年1月17日)

研究開発情報:薬剤耐性菌CRABに効く抗生物質を発見

カルバペネム耐性アシネトバクター・バウマニ(CRAB)はほとんどの抗生物質が効かず、環境の殺菌が難しいので、致死的な感染症が医療・介護施設で広がりやすい。それゆえ世界保健機関(WHO)も米国疾病予防管理センター(CDC)も、公衆衛生への重大な脅威に指定している。このCRABに効く新しい抗生物質に関する2つの研究が、ネイチャー誌に掲載された。スイスのロシュ社とハーバード大学が共同開発したゾスラバルピンは、薬剤耐性CRABの複数の株を死滅させることに成功した。初期の臨床試験の結果が今年出る予定である。臨床試験で有効性と安全性が確認された後も、使用が広がることで新薬に耐性をもつCRABが現れるリスクを管理することが、実用化のため必要となる。
【関連リンク】
https://doi.org/10.1038/s41586-023-06873-0
https://doi.org/10.1038/s41586-023-06799-7
(2024年1月3日)

研究開発情報:米国東海岸の大都市で地盤沈下が進む

ニューヨーク、ロングアイランド、バルティモア、バージニアビーチ、ノーフォークといった米国東海岸の大都市は、毎年2-5ミリメートル地盤沈下しているという、バージニア工科大学と米地質研究所の研究結果が、米国科学アカデミー紀要に掲載された。地盤沈下が著しい地域は人口が多く、インフラが集中している地域と一致している。建物の基礎や道路・ガス管・水道管・鉄道・空港・堤防が損傷し、海面上昇と相まって沿岸部に浸水するリスクを警告している。
【関連リンク】
https://doi.org/10.1093/pnasnexus/pgad426
(2024年1月2日)

研究開発情報:豪雨の雨量の増加は既存の気候モデルを上回る

陸上の豪雨の雨量が温暖化とともに増え、既存の気候モデルを上回っていることを指摘する、ドイツのポツダム気候影響研究所の研究結果が、アメリカ気象学会のJournal of Climate誌1月号に掲載された。過去の実測値を用いて予測を制約すると、将来の雨量の最大予測値は大きく、分布の誤差は小さくなると結論し、豪雨を通じた気候変動の社会的影響も再検討が必要だと示唆した。
【関連リンク】
https://doi.org/10.1175/JCLI-D-23-0492.1
(2024年1月1日)

報告書など:全米アカデミーズ「地域社会主導の移転―メキシコ湾岸地域その他への推奨策」

1980年から2023年半ばまでの間に、米国のメキシコ湾岸は損害額10億ドル(800億-2300億円)以上の災害に232回見舞われた。件数は2018年から毎年倍増している。FEMA(連邦危機管理庁)、陸軍工兵隊、住宅都市開発省や州・自治体は、環境リスクの増加を踏まえて、脆弱な地域社会の価値と優先順位を尊重しつつ、移転を計画してもらえるよう働きかけるべきである。
【関連リンク】
https://doi.org/10.17226/27213
(2024年1月発行)

報告書など:全米アカデミーズ「イースト・パレスタイン脱線事故に関する公衆衛生研究・監視の優先事項」

2023年2月にオハイオ州イースト・パレスタインで貨物列車が脱線して危険物質が流出した事故を受けて、市民への健康影響を研究し監視するうえでの優先事項を話し合うため、全米アカデミーズは同11月にオンラインワークショップを開催した。起こりうる健康被害や事故の教訓を検討し、地元地域社会のフィードバックや質問、懸念事項に基づいて現在と今後の公衆衛生上の対応計画を議論した。
【関連リンク】
https://doi.org/10.17226/27441
(2024年1月発行)

報告書など:米司法省地域社会型警察活動室(COPS)「重大事件検証―ロブ小学校銃乱射事件」

2022年5月24日、米テキサス州南部ユバルディ市の小学校で児童19人と教師2人が射殺された銃乱射事件における警察の対応を検証した報告書。警察や救急隊の対応、コミュニケーション、心的外傷対策といった各部署の対応を、20か月かけて包括的に調査・評価した。ガーランド司法長官は報告書の公表に際して、当時の警察の対応は失敗であり、二度とこのような事態を引き起こさないために報告書の調査結果を生かすべきだと述べた。
【関連リンク】
https://cops.usdoj.gov/uvalde
(2024年1月18日公表、575ページ)

報告書など:FEMA「1階が脆弱な木造集合住宅の耐震強度判定と改築の手引きと推奨策」

米国で主に1950年代から70年代にかけて建てられた、1階が車庫になっている木造集合住宅(SWOFビル)は、構造的に地震に弱い。1994年のノースリッジ地震でもSWOFビルの損害が大きかった。この手引きは、今なお米国各地に多いSWOFビルの性質の理解を深め、改築方法を紹介する。
【関連リンク】
https://www.fema.gov/sites/default/files/documents/fema_rm-fema-p-807-1.pdf
(2023年9月発行、2024年1月10日公表、346ページ)

報告書など:GAO報告書「医療機器のサイバーセキュリティ―有効な調整を確保するために省庁間合意を改定する必要がある」

医療機器のサイバーセキュリティ脆弱性が悪用される事例は少ないものの、病院のネットワークや患者にリスクをもたらしている。食品医薬品局(FDA)は医療機器のサイバーセキュリティに主な責任を負い、メーカーに対するセキュリティ上の指導、脆弱性に関する市民への警告などについてサイバーセキュリティ・インフラセキュリティ庁(CISA)と協力している。FDAとCISAの正式合意から5年が経過したので、合意を改定して両機関の調整を改善し、役割を明確化することをGAO(米議会の政府監査院)は推奨する。
【関連リンク】
https://www.gao.gov/products/gao-24-106683
(2023年12月21日公表、46ページ)