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ニュース:中国当局者が米インフラへのサイバー攻撃を認める発言

昨年12月に中国と米国(バイデン政権)のサイバー当局がジュネーブで秘密裏に会談し、中国側が米国の重要インフラへのサイバー攻撃を遠回しに認める発言をしたと、ウォールストリート・ジャーナル紙が報じた。米国の港湾・水道会社・空港などのコンピュータネットワークへの長年にわたる侵入を、台湾への支援を強める米国の政策に対抗しておこなってきたことを示唆したという。このサイバー攻撃キャンペーン「ボルト・タイフーン」について、中国当局はこれまで犯罪集団の仕業または米国側の想像だと主張してきたので、米当局者は中国側が攻撃を認めたことに驚いている。
(2025年4月10日)


ニュース:米国土安全保障省が希望退職を募る

米国土安全保障省(DHS)のノーム長官は、政府の規模を縮小するトランプ政権の方針の一環として、希望退職の条件を職員に示した。7日夜に送信したメール「DHSの人員再構成」で退職延期(数か月の有給休暇後に退職)、早期退職(年金と健康保険は減る)またはバイアウト(退職金のみ支給)の3つの選択肢を示し、どれかを選ぶ職員は4月14日までに申請するよう求めた。サイバーセキュリティ・インフラセキュリティ庁(CISA)職員は最大3分の1の削減が検討されており、希望退職が少なければ解雇を通知する可能性があるという。FEMA(連邦危機管理庁)では試用期間中の200人が解雇されており、大幅な人員削減が見込まれている。ノーム長官によると、同省の法執行官の大部分には希望退職を提示していない。
(2025年4月9日)


ニュース:米大統領令「米国の電力網の信頼性とセキュリティを強化する」

トランプ米大統領は、人工知能(AI)データセンターなどの電力需要増大と送電容量の限界への対策として、大統領令14262号「米国の電力網の信頼性とセキュリティを強化する」に署名した。危機に際して電力網の安定性を維持し、停電等を防ぐため、連邦電力法第202条(c)に基づく緊急措置を講じる権限をエネルギー省に与える。エネルギー長官は電力供給余力の統一的な分析方法を30日以内に策定、90日以内に公表し、不可欠な発電能力を維持する。つまり、既存の発電所が廃止されると電力網の安定性を損なう場合、廃止を禁止する。北米には危機的状態にある基幹系統がないのに、連邦電力法の緊急権限を行使する根拠は示していない。維持費の高い発電所の廃止を禁止することは、電力網を安定させる効果の高い発電所新設を妨げる。
(2025年4月8日)

ニュース:FEMAがインフラと地域社会の回復力構築事業を廃止

FEMA(米連邦危機管理庁)は「回復力あるインフラと地域社会の構築(BRIC)」という州・自治体・部族政府・準州に対する助成事業を廃止し、2020-23会計年度(19年10月-23年9月)の全申請を却下すると発表した。未配分の助成金は、災害救済基金または財務省に返金される。発表文は「FEMAは無駄で政治化された助成金事業を廃止し、自然災害から復旧中の米国民を助ける基本使命に立ち返る」と題されている。インフラ投資・雇用法によるBRICへの支出のうち8億8200万ドル(1300億円)が財務省に返還されるか、議会の来年度予算で再配分されると見込んでいる。同法は2021年に制定されてから5年間で10億ドルをBRICに割り当て、450件の申請に1億3300万ドルを配分した。バイデン前大統領はBRICに対し、気候変動に備えることと、貧困率・失業率が高くて公害など環境問題を抱える地域社会に助成金の40%を支出して公平を図ることを指示した。それはトランプ政権の思想に反するので、ノーム国土安全保障長官らは「政治化」と批判している。
(2025年4月4日)

ニュース:米政府のコロナ対策資金打ち切りを連邦地裁が緊急差止

米保健福祉省は3月25日、州・自治体の保健機関に配分した新型コロナウイルス感染症対策費の未使用分114億ドル(1.7兆円)の返還を求めると発表した。資金打ち切り通知の発送を24日に始めており、通知の30日後に疾病管理予防センター(CDC)が資金の回収を始めるという。対策費は新型コロナウイルスの感染検査やワクチン接種だけでなく、インフルエンザ・エムポックス・はしかなどのワクチン接種にも使われている。今年の米国では麻疹の流行が顕著で、22州の700人以上が感染し、2人が死亡している。23州の州政府は4月1日、ロードアイランド州地区連邦地裁に資金打ち切りの差止を請求し、同地裁は3日、緊急差止命令を下した。
(2025年4月4日)

ニュース:ミャンマーで大地震

3月28日、ミャンマー中部でマグニチュード7.7の地震が発生し、軍事政権の発表によると1週間後の4月4日までに3100人以上の死亡が確認された。4月16日時点の死者数は、軍事政権によると3727人、地下放送「民主ビルマの声」によると4410人にのぼった。被害がとくに深刻なのは震源に近い同国第2の都市マンダレー周辺で、建物の半数が全壊または半壊したもようだ。約1000キロ離れたタイのバンコクでも、建設中の高層ビルが倒壊し、4月19日時点で作業員ら47人が死亡、47人が行方不明となっている。
(2025年4月4日)

ニュース:レーガン・ナショナル空港付近でデルタ航空機と空軍機がニアミス

米連邦航空局(FAA)によると3月28日午後、首都ワシントンD.C.最寄りのレーガン・ナショナル空港を離陸したデルタ航空の旅客機と米空軍の練習機が接近、旅客機の衝突回避システムがパイロットに警告を発し、管制官は2機に進路変更を指示した。デルタ航空2983便(エアバスA319型機)は乗員5人、乗客131人を乗せて午後3時15分、ミネアポリス・セントポール国際空港に向かって離陸した。同便が高度1300フィート(396メートル)に達したとき、T-38高等練習機4機がアーリントン国立墓地上空での儀礼飛行のため飛来し、そのうち1機は旅客機の500フィート(152メートル)下を飛行した。FAAと国家運輸安全委員会(NTSB)がインシデントを調査しており、NTSBは予備調査報告書を30日以内に公表する予定である。
(2025年3月29日)

ニュース:米政府が災害復旧におけるFEMAの役割の大幅縮小を検討

ノーム国土安全保障長官らトランプ政権高官は3月25日、FEMA(連邦危機管理庁)の解体的改革について協議し、ノーム長官は災害復旧におけるFEMAの役割を10月1日までに大幅に縮小する案に賛成したと、政治ニュースサイトのポリティコとCNNテレビが報じた。この案では、災害に備えて地域社会の回復力を高める事業に対する支出も廃止する。民主党のモスコウィッツ下院議員と共和党のドナルズ下院議員は25日、災害準備・対応・復旧を加速・効率化するため、FEMAを国土安全保障省から分離して再び閣僚級の庁とするFEMA独立法案を共同提出した。
(2025年3月26日)

ニュース:米閣僚らが民間メッセージアプリで軍事作戦の情報をやりとり

米アトランティック誌のゴールドバーグ編集長は、閣僚らがイエメンの反政府勢力フーシ派に対する空爆計画を協議するため、民間アプリ「シグナル」のグループチャットを使用し、自分も招待されたので空爆を事前に知ることができたと24日に公表した。ウォルツ大統領補佐官(国家安全保障担当)がゴールドバーグ氏を招待し、ヘグセス国防長官やバンス副大統領が空爆計画に関するやり取りをおこない、参加兵力・攻撃目標・攻撃時刻・進行状況などの情報をチャットで共有していた。ヘグセス長官は、共有された情報は機密ではないと主張した。翌25日に上院情報委員会で証言したラトクリフCIA(中央情報局)長官も、チャットが本物だと認めた一方、機密情報を共有しなかったので、シグナルのグループチャットを使用したことは法令に違反していないとの見解を述べた。ホワイトハウスのレビット報道官は、アトランティック誌の報道をセンセーショナルなでっち上げと断定、トランプ大統領もゴールドバーグ氏と同誌を非難した。これを受けて同誌は26日、グループチャット使用の是非は読者が内容を読んで判断すべきだとして、グループチャット全部の記録を公開した。
(2025年3月26日)


ニュース:英国で羊が鳥インフルエンザに感染

イングランド北部・ヨークシャー州の羊から鳥インフルエンザウイルスが検出されたと、英国首席獣医官が確認した。同じ敷地で飼育中の鳥の感染が確認されていたので、羊も監視されていた。感染した1頭を殺処分したが、他の羊は感染が検出されなかった。羊の鳥インフルエンザ感染が確認されたのは世界で初めて。哺乳類ではすでに、人・牛・キツネ・豚などの感染例がある。首席獣医官は、英国の家畜の感染リスクが高まったわけではないとしながらも、畜産農家には、家畜に症状がないか監視し、感染防止に注意するよう呼びかけている。
(2025年3月25日)

ニュース:英ヒースロー空港で停電により全便欠航、29万人に影響

ロンドン西部のノース・ハイド変電所の火災により、3月21日にヒースロー空港が停電し、約18時間にわたって1350便以上が欠航、約29万人の旅客に影響が出た。同空港の非常用電源は滑走路の照明と管制塔のために設置されており、ターミナルの電力需要をまかなう容量はない。運営会社は、外部電源を失っても営業を続けられるだけの非常用電源を用意することは、費用対効果が見合わないと判断していた。対照的に、近所のデータセンターは必要な非常用電源を用意しており、営業を続けることができた。英エネルギー安全保障・ネットゼロ省は22日、送配電事業者および継続的な電力供給を必要とする重要なサービス・施設を含む、電力部門にとっての教訓とよい慣行を割り出すための調査を、国家エネルギーシステムオペレーター(NESO)に委託したと発表した。
(2025年3月22日)


ニュース:米国家運輸安全委員会が橋68本の崩落リスクを評価するよう求める

昨年ボルチモアのフランシス・スコット・キー橋が崩落した事故を受けて、米国家運輸安全委員会(NTSB)は3月 20 日、19州の橋68本について、船舶が衝突した際に崩落するリスクの「脆弱性評価」を実施するよう勧告した。カリフォルニア州のゴールデン・ゲート橋、ニューヨーク市のブルックリン橋、フロリダ州のサンシャイン・スカイウェイ橋も対象に含まれる。ただしNTSBは、これらの橋が崩落するリスクが高いと決めつけているのではなく、全米州幹線道路・運輸職員協会(AASHTO)の許容リスク水準を上回っていないか確認するのが趣旨だと述べている。
(2025年3月20日)

研究開発情報:植物のツルのように伸びるがれき救助用ロボット

災害で倒壊した構造物の下に閉じ込められた人々の捜索・救助は、危険性が高く疲れやすい任務だ。マサチューセッツ工科大学(MIT)リンカーン研究所とノートルダム大学の研究者は、障害物の周りやがれきの中の狭い空間を、植物のツルが伸びるように移動するロボットSPROUTを共同開発した。SPROUTは「道を開くソフトなロボット観測ユニット」という意味の頭字語で、その特徴を表す。気密性の布のチューブを出発地点から圧縮空気で伸ばし、モーターで方向を制御する。先端のカメラやセンサーを用いて周囲を撮影・測量する。操作員はカメラの映像を画面で見て、ジョイスティックでSPROUTを操縦する。展開できる長さは現在3メートルで、研究チームは7.6メートルに伸ばすことをめざしている。

【関連リンク】
https://news.mit.edu/2025/sprout-flexible-robot-help-emergency-responders-search-rubble-0402
(2025年4月3日)

研究開発情報:ライダー搭載ロボットを用いた危険地帯の探索

レーザー光をパルス状に発し、物体の反射光を用いて距離を測り、3次元空間データを得るライダー(LiDAR)を自走ロボット(無人車両)に搭載すると、化学工場事故や洪水など災害現場の状況把握に役立つ。ドイツのフラウンホーファー研究機構通信・情報処理・人間工学研究所(FKIE)は、このため3D-InAus(3次元の出入り)というプロジェクトをドイツ連邦軍から受託し、建物・部屋・広い空間・物体などを含む3次元モデルの中を、ユーザーがジョイスティックを操作して自由に移動する技術を開発している。通常は400メートル四方の区域の測量に3時間ほどかかるが、緊急時には1時間でおおまかなモデルを作れるという。また、同時に複数のロボットを用いて測量することもできる。3次元モデルには、有毒ガスや放射線のセンサーのデータも統合できる。操縦用電波の届かない屋内の航法には、建物の位置と大きさの情報から構築した仮想的GPSを用いる。レーザー発振器とターンテーブルは、シナリオに合わせて組み立てられるようにモジュール化されており、装輪式・装軌式の無人車両にも、無人航空機にも搭載できる。

【関連リンク】
https://www.fkie.fraunhofer.de/en/press-releases/Virtual-3D-environment_research-news_01-2025.html
(2025年3月25日)

研究開発情報:林野火災をAIで監視する衛星コンステレーション

林野火災をAIで監視する初めての衛星コンステレーション「FireSat」の試作機が、3月15日に米国で打ち上げられ、同17日に軌道上から地上局との通信を始めた。衛星は5メートル四方程度の火災を、人工知能(AI)を用いて発見する。試作機はカリフォルニア州のヴァンデンバーグ宇宙軍基地から、スペースXのファルコン9ロケットの「トランスポーター13」ミッションで打ち上げられた。林野火災監視のための従来の衛星画像は、火災が1ヘクタールほどに広がるまで発見できず、1日2回ほどしか更新されない。FireSatは2026年に実用機3基を打ち上げ、2030年までに50基以上を打ち上げて20分おきに定点観測できる態勢の構築をめざしている。FireSatはグーグル・リサーチ、衛星メーカーのミューオン・スペース、非営利団体アース・ファイヤー・アライアンス、ゴードン・アンド・ベティ・ムーア財団 、消防当局などの協力事業である。
(2025年3月23日)

報告書など:GAO報告書「公衆衛生準備態勢―医療予備部隊の状況把握には信頼できる情報が必要」

米国各地の医療者等のボランティアからなる医療予備部隊(MRC)は、災害にあった州や自治体に医療等の支援を提供する。保健福祉省は医療予備部隊に資金・技術支援・訓練・活動指針を提供する。同省が医療予備部隊の状況・能力を把握するための情報源は、ボランティアのデータや技術支援の需要の評価など医療予備部隊の末端部隊の情報である。しかし、ボランティアのデータは信頼性が低い。また、同省職員は、末端部隊の能力と技術支援の需要を毎年評価すると定められているが、必ずしも実施していない。GAO(米議会の政府監査院)は保健福祉省に対し、状況把握能力を改善するため、ボランティアのデータが適切に更新されるようにするしくみを作り、技術支援評価を毎年おこなうことを保証するよう推奨し、同省は同意した。

【関連リンク】
https://www.gao.gov/products/gao-25-106899
(2025年4月3日発行、38ページ)

報告書など:GAO報告書「災害支援―連邦政府の対応を改善する」

災害の回数と費用が増え、支援体制の課題も増えているので、GAOは2025年2月、国の災害支援の提供体制の改善を高リスクリスト(浪費・詐欺・悪用・経営ミスのおそれがあるか再編の必要な国の事業)に追加した。その改善のためには、被災者支援プロセスを改善し、細分化した災害支援事業をまとめ、災害対応の人員体制と能力を強化し、回復力に投資するよう、議会等の注意が求められる。例えば、国の災害復旧事業が30以上の機関に細分化されている現状に対し、議会が独立委員会を設置して改革案を答申させるよう、GAOは推奨している。FEMA(連邦危機管理庁)には、州や自治体が国の支援なしに災害に対応する能力を包括的に評価する方法の策定・実施を再開し、完成させるよう推奨した。GAOの国土安全保障省・司法省担当責任者のクリス・カリー氏が下院運輸・インフラ委員会経済開発・公共建築物・危機管理小委員会で証言した。

【関連リンク】
https://www.gao.gov/products/gao-25-108216
(2025年3月25日発行、23ページ)

報告書:GAO報告書「米国の港湾インフラ―運輸省と国土安全保障省は、港湾が災害回復力を高めるのに役立つ資金等の支援を提供している」

米国の港湾および周辺地域に運輸省と国土安全保障省が提供している補助金事業のうち、2024年の5つの競争的事業は、自然災害に対する回復力を対象としていた。港湾に対する国の補助金事業が自然災害回復力をどの程度高めたのか、わかっていない面がある。両省の職員によると、その主な理由は、テロ対策やサイバーセキュリティなど他の目的が主である事業も、自然災害回復力を高めることが多いからだ。そうした事業の根拠法令は、プロジェクトが結果として災害回復力を高めたのか追跡することを国の機関に義務付けていないという。国の機関は、港湾や利害関係者が自然災害に対する脆弱性を割り出して港湾の回復力を高めるのに役立つ、回復力関連の枠組みやリスク評価指針を策定しており、調整メカニズムや訓練も提供している。

【関連リンク】
https://www.gao.gov/products/gao-25-107159
(2025年3月20日発行、40ページ)

報告書など:全米アカデミーズ「医療・公衆衛生重要インフラの回復力を高める」

災害が起きると電力、水道、情報技術(IT)インフラ・システムなど重要インフラの障害が連鎖的に発生するおそれがある。医療・公衆衛生の重要インフラも例外ではなく、脅威は複雑かつ急速に変化しており、国の健康安全保障(健康危機への対応能力)に新たなリスクをもたらしている。これを受けて、全米アカデミーズの「災害・緊急時の医療・公衆衛生の備えに関するフォーラム」は2024年12月にワークショップを開催し、医療・公衆衛生の重要インフラの回復力を高める戦略や政策、革新的な取り組みを検討した。

【関連リンク】
https://doi.org/10.17226/29081
(2025年3月発行)

報告書など:全米アカデミーズ「災害・緊急時の医療・公衆衛生の備えに関するフォーラム」

「災害・緊急時の医療・公衆衛生の備えに関するフォーラム」は災害、公衆衛生上の緊急事態、新たな脅威に対する国の備え・対応・回復力を改善するため、各級政府・非営利部門・営利部門のリーダーを招集している。研究・政策・実践の隙間を埋めるため、中立的な議論の場を提供する。問題解決の障壁を検討し、役に立つ研究を特定し、業務・政策の革新的な解決策を探究し、健康安全保障(健康危機への対応能力)の維持・強化につながる行動を利害関係者に促す。本報告書は2024年の活動を振り返り、25年の優先事項と活動を紹介する。

【関連リンク】
https://doi.org/10.17226/29090
(2025年3月発行)