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静岡の国際化サロン




静岡は、どうすれば、世界の人材を惹きつける魅力的な都市になるのか。県内で文化・芸術、都市設計、街づくり等に関わる皆様に参加いただき、意見交換しました。

第5回要旨

2014年4月14日開催
話題提供:  
山本良三 静岡大学山岳部紫岳会会長、日本山岳会評議員

〇南アルプスは、活性化することで静岡の観光資源、宝となり得る。
〇人が入っておらず手つかずの森林で、魅力がある。
〇しかし、静岡からの交通アクセスの悪さや皆無に近い宿泊施設、展望台がないといった問題がある。先行投資のマインドで、改善をする必要がある。
〇二軒小屋上流には高級宿泊施設を設置し、上高地のような観光地に。
〇京塚橋から大沢戸橋の間(3.7km)に隧道(トンネル)を掘削すると、総工事費約80億円で静岡-井川間が45分でつながり、通勤圏となる。
〇笊ヶ岳に空中ケーブルを設置すれば、南アルプス主稜の展望が可能となる。
〇しずおか山の交流センター(NPO)を設置、静岡の登山文化の向上、林業技術の質的向上や森林環境保全の拡大普及を目指す人材の育成を目的とする。

ディスカッション
〇上高地型の観光地になれば、音楽祭などの開催が期待できる。
〇森林セラピーが注目されている。森林には人の心を癒す力があり、観光資源として魅力がある。
〇南アルプスは知られていない。どうやって知ってもらうかが肝心。
〇山の交流センターをどのように絡めていけるか。
〇ダボスやアスペンのように、特色が必要。
〇良さを伝えても、共感を得て、構想を実現するには理念が必要。具体的に伝えなければならない。

第4回要旨

2014年2月18日開催
静岡県舞台芸術センター(SPAC)にて「真夏の夜の夢」観劇
〇静岡県舞台芸術センター(SPAC)では、演劇普及のため高校生を対象とした無料の鑑賞事業を実施しており、当日は、定時制高校生のための夜間公演が開催された。
〇サロンメンバーは、SPACのご厚意により高校生と一緒に当演劇を鑑賞させていただいた。 
懇話会
〇SPACから観劇事業の目的や概要のご説明の後、芸術や大学や地域が連携し、国際的なまちづくりを行うこと等について多様なディスカッションが行われた。

第3回要旨

2013年12月2日開催
話題提供:静岡大学 浅利一郎副学長
〇近年、世界大学ランキングが注目されることも多く、日本の大学では東大23位、京大52位(Times Higher Education Rankings 2013)など、日本の大学がシンガポールや韓国などアジアのトップ大学と比べて相対的に低いことが話題になっている。
〇世界大学ランキングが低い原因は「国際化」のポイントが低いことであり、文部科学省も「大学の国際化」が喫緊の大学改革の課題のひとつと位置づけ、推進に力を入れている。
〇国際化のポイントには海外留学生の受け入れ数、日本から海外への留学者数、外国人研究者比率などの指標が用いられるが、近年、訪日留学生、海外渡航留学生とも減少傾向であり、研究者受け入れもなかなか進まないのが現状である。
〇県内の国際化の状況は全国と同様であり、受入れ増加のためには、「どうしても静岡の大学で研究したい。」という大学の魅力に加えて、研究者に同行する海外子供の教育や一緒に暮らす奥さんにも静岡県で暮らす事が魅力的でないと優秀な学生、研究者は呼べない。
〇「最近の若者は内向きであると」いうような論調も見られるが、個々人レベルではグローバルな情報も入手しやすいこともあり、支援等があれば海外留学等への意欲ある若者も少ないわけではない。
〇今後とも日本の経済社会の国際化は一層進展していくと考えられるが、個人レベルの国際化は進んでいるのに対し、企業や大学のあり方を含め日本固有の組織文化が国際化への対応を難しくしている可能が大きい。
〇とはいっても、我が国の社会や組織を欧米型に変えれば済むということではない。例えば、日本の組織文化の特質の一つであるチームワークは、国際化の流れの中で強みにも弱みにもなりうる。地域の国際化を考える場合重要なファクターである。

ディスカッション
〇今の若者は内向きと言われるが、スポーツ、芸術とか、やりたい分野がはっきりしている人は海外に出て活躍している。
〇国際交流は個人では進んでいるが、こと組織となると国際化が全く進んでいない。
〇海外の大学では世界に向けて出版物やポスターを送ったり情報発信が盛んであるし学生も積極的に質問する。日本の大学の授業ではディスカッションがない。
〇音楽の世界では韓国、中国よりも日本人の方が世界に進出している。ウィーンには驚くほど日本人奏者がいる。留学生全てが優秀ではないが、他人数の中では優秀な者も出る。
〇建築事務所で海外の建築士を働けるようワーキングビザを申請すると一流大学出身者にはすぐ許可が出るが、そうでないと中々ビザが出ない。
〇大学でも海外の研究者を受け入れようとすると、教授会で反対される。その原因は、研究・教育以外に日本語での種々雑多な事務があり、他の教員に負担が行くため。
〇海外の大学では、学生寮を造り、そこで培った人的ネットワークが将来の財産として評価されるが、日本の企業では評価されない。
〇ハーバード大学では、大学自らが学生に資金を貸し出し、就職後に返してもらう制度がある。在学中は全くお金の心配がないほど貸してくれるし、卒業生の返金も順調である。
〇日本の企業では日本語でないと細かなコミュニュケーションができない。日本企業が海外に進出する際にも、英語ではなく、現地の言葉が分かることが重要である。
〇音楽の世界でもフルートを学ぶのなら、フランス語を、尺八が学びたければ日本語が必要となる。こちらから、学びたい芸術がある国に近づいていくことになる。
〇海外に進出した企業を見ていると、語学力の有無よりも、バイタリティがある人材が活躍している。海外に通用する人材というのは、語学力だけではないのではないか。
〇静岡の駅前などは全く特徴がない。海外の人から見て魅力のある美しいまちづくりが必要であり、手始めに静大から県大までの景観をきれいにしたらどうか。
〇ヨーロッパの演劇家を日本平中腹の舞台芸術センターに招くと、芸術と自然が一緒にあることに感激する。地元の人にとっては平凡なものでも、外国人から見れば世界的な魅力がある場合もある。
〇「街並みを変える。」のではなく、見方を変えて、世界にその魅力を発信すれば良いのではないか。そのための(感性と語学力を持つ)キュレーターが必要ではないか。
〇海外に有名な「高尾山」もフランス人が「高尾山は良かった。」という情報を発信したのが始まりである。
〇「静岡茶」や「食材が日本一豊富」であることも世界に発信すべき魅力の一つでは。
〇今から10年後を見据えて、県内の大学が留学生を優遇し、育てる取組を始めれば、10年後には、その評判を聞き、海外から優秀な留学生が集まってくるのではないか。

第2回要旨

2013年10月8日開催
グローバル地域センター長 竹内宏 オリエンテーション
〇静岡をどうしたら国際的に通用する文化都市にしたらいいのか、第一回目のサロンでは諸説あったが、第二回目の本日のサロンでは、具体論の一つとして「お茶」をテーマとして議論する。

話題提供:日本茶道塾 吉野亜湖事務局長
〇お茶の試飲、お茶の葉の試食
・「冷緑茶をワイングラスに入れた試飲」と「お茶の葉を朱塗りの杯に入れ、氷でほぐし、雫を味わい、お茶の葉を試食」を体験
〇パリでは、日本食が広がるとともに、日本茶がワインと同様、高級な飲み物として売られてきている。
〇海外で日本茶を売る場合、一番の問題は水質の問題であり、お茶と合う水をセットにして販売する取組をしている。
〇アメリカでは、知識人がお茶を好んで飲んでおり、全米茶業協会では、ワインを手本にして、お茶を高級品として売り込もうとしている。
〇アメリカで日本茶ファンをもっと増やすには、日本の文化や茶園の様子、製造工程
などの知識やストーリーが必要。

  
ディスカッション
〇日本の学生はお茶の入れ方を知らず、ペットボトルのお茶を飲むだけである。
〇「ペットボトルを買って飲む。」のは、(お茶はタダではなく)「お茶はお金を払って飲むもの。」という感覚を作ってくれた面もある。
〇大学生は、ペットボトルのお茶の味に敏感であり、好みのブランドを明確に分けて飲んでいる。
〇静岡の茶園の風景はクオリティが高く、グローバルに通用する景観資源である。
〇国内、静岡という範囲でPRしても、雑多な情報に埋もれてしまうのではないか。自動車でのF1参戦によるPRのように、海外で売り出した方が早いのではないか。
〇お茶に関する総合的な講座を静岡の大学で確立すれば、その分野で世界の中心になれるのではないか。
〇食事の際に必ずお茶を出す習慣があるのは静岡だけである。
〇お茶には80種類の品種があるが、地域・ブランドとは無関係に作られてきた。
〇最近、品種ごとの香りや味を楽しむ傾向がでてきたが、これは茶業の歴史から見て初めてのことである。
〇緑茶を飲ませる店(緑茶喫茶)は、和カフェブームで何軒もできたが、お茶だけでは経営がなり立たず殆ど残っていない。
〇西洋では音楽会や観劇の幕間に色々なことをやる。グランシップでも能、歌舞伎、文楽など伝統芸能的なものの上演時にはお茶を出している。
〇舞台と静岡のお茶が結びついて、静岡らしい文化ができるのでは。
〇静岡のお茶を文化にして世界から人を呼べる仕組みができないか。八ヶ岳高原ロッジも随分交通の便が悪いが、一流の演奏者と一緒にワインを飲めるということで人が集まっている。人を惹きつけるには何らかのポイントが必要なのでは。
〇掛川では芸術性の高い茶碗づくりとそのお披露目のお茶会をセットにした行事を行っており、全国から人が集まっている。

第1回要旨

2013年8月5日開催
話題提供:グローバル地域センター長 竹内宏
「静岡の国際化サロン」の目的

○サロンの目的は文化的な友達の輪を作ること。自由な議論を行い、その結果を1年後には提案にまとめて発表したい。
○静岡の国際化サロンの目標は、例えば、静岡をケンブリッジやボストンのような世界トップクラスの文化都市にすることである。
○静岡を国際文化都市にするのは一見荒唐無稽にも思えるが、ケンブリッジもロンドンから1時間程度の場所にあり、東京から1時間の静岡は程良い距離にある。
○文化都市には景観も重要であり、50年後も生き残れるまちづくりを考えていきたい。

ディスカッション
○明治維新の頃、静岡には静岡学問所が置かれ、日本の一流の知識人が集まり、静岡は正に日本のボストンだった。東京から1時間離れた静岡は十分日本のボストンになれる。2018年に静岡学問所開設150年を迎えるのを期に学術文化のまちづくりを考えたらどうか。
○静岡県は、東、中、西で歴史も文化的背景も異なっている。一律な文化づくりはできないので、それぞれ別のアプローチが必要では。
○静岡の繁華街は地方都市としては稀なくらいにぎわっている。今後もその繁栄をいかに維持するのか、まちづくりが課題である。
○文化都市として、景観も大切であるが、静岡の駅周辺には特徴がない。
○草薙商店街では留学生を含む大学生と一緒に様々な事業をやっている。商店街を学生・市民の交流・文化づくりの場として利用してほしい。
○街中に花木を市民が植えたり、商店街には人が住み、生活することが必要。
○「お茶」も静岡の景観としても活用すべきである。
○静岡の文化を考える際に「お茶」は欠かせない。パリでは高級品として売られており、「お茶」で静岡から世界に文化を発信できるのでは。
○静岡のブランドとして、「お茶」「サクラエビ」が挙げられるが、こだわりすぎでは。お茶ロールを販売するのは、文化とは言えない。
○お茶が飲まれなくなったのは、家から「茶の間」がなくなったように、お茶を飲む「場所」がなくなったからではないか。
○静岡は、クラシックファンの層が薄く、コンサートは素通りだった。浜松での音楽コンクール、静岡での市庁舎コンサートを継続し、理解者は増えてきたが、「音楽」での文化都市づくりは限界がある。
○他県では余り取り組まれていない「舞台芸術」を中心としたらどうか。
○SPACでは、年間15,000人の方に鑑賞してもらっているが、集客面では首都圏5000万人を対象とする埼玉県の方が有利。ただ、国際的に見れば、チューリヒは人口39万人であり、静岡の方が市民全体での取り組みができ易いのでは。
○人口が少ない松本市(24万人)では、全国トップレベルの音楽祭である「サイトウ・キネン・オーケストラ」が毎年開催されている。市民全体で歓迎するので芸術家もその雰囲気に感激して再度来演する。
○舞台芸術は、演技だけでなく、音楽、衣装、美術などの総合芸術であり、全てのレベルが上がる必要がある。国際的に見ても舞台芸術だけレベルが高いという都市はない。
○文化づくりには総合力が必要。文化芸術を提供する側と提供される側がもっと交替し、「提供」と「鑑賞」のサイクルを造ることが必要では。