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HOME >  中国展望 (特任教授 柯隆) >  2013年(海外ジャーナリズムの眼) >  中国eコマースビジネスの最新事情

中国eコマースビジネスの最新事情


中国最大のECサイトを運営するアリババがSINAミニブログを買収。アリババは、EC、モバイル、ソーシャルメディアを網羅することとなり、モバイルEC事業において勝ち組になると見られている。

6月21日

さる4月30日、中国最大のeコマース(EC)サイトのTAOBAO(淘宝)の運営会社アリババは、最大手ポータルサイトのSINA(新浪)が運営するSINAミニブログ(新浪微博)の株式約18%を5億8600万ドルで取得することで合意した。アリババ はSINAミニブログの優先株と普通株を取得し,保有比率を30%に上げる権利も持っている。今回の買収は同業界の構図を塗替えるビッグニュースとして、メディアの報道は加熱している。

『経済導報』は5月3日に掲載された「アリババのモバイルビジネスへの布石」の記事で、「両社は、ユーザーアカウントとデータの共有、オンライン決済、ネット広告などの分野において提携し、SINAミニブログのユーザー数億人とアリババECサイトのユーザー数億人を統合したソーシャル型ECの運営モデルを模索している」と報じた。さらに「SINAミニブログのユーザー数が5億以上、アリババのECサイトのユーザー数も5億以上になる。ユーザーの重複の割合は40%を超えているとみられ、今回の提携によりアリババは3億以上のユーザーを獲得できると見込まれている。また、年内にアリババは新規株式公開に乗り出す予定とされており、SINAミニブログとの提携は、株式公開時の企業価値を大幅に高める可能性がある。一方、SINAミニブログには、今後3年間で約3.8億ドルのネット広告の収益及びECの収益がもたらされると見込まれている」と伝えた。提携の背景については、「SINAミニブログは最大規模のユーザー数を抱えているが、営利化モデルの構築が課題だった。サービスの運営コストは2011年1億ドル、2012年は1億6000万ドルだった。2012年のユーザー数は5億を超えたが、売上は6600万ドルに止まっている。利益が出るまでには、まだ時間がかかると言われている。一方、アリババは中国最大のECサイトの運営企業として、豊富な資金力を持っているが、ソーシャルメディアが欠けている。双方にとりウィンウィンの提携関係になり、短期的にみると、SINAミニブログは営利化問題が解決され、収益増が実現できるとみられている。長期的にみると、アリババはモバイルEC事業において勝ち組になるだろう」と述べた。 

「“アリシナ”がミニブロクを救えるか」と『南方週末』が5月10日に掲載した記事では、「アリババのこの数年の投資案件を見ると、自社ECサイトのモバイル化への布石を打っていることが分かる。今回の資本提携によって、アリババがEC、モバイル、ソーシャルメディアを網羅することになり、SoLoMo(Social、Local、Mobile)の運営モデルを実現できる」と述べた。さらに、両社が提携する背景について、「テンセント社のWECHAT(微信)サービスの急速な普及によって、ユーザーによるSINAミニブログの利用時間は大幅に減少した。2013年2月、SINAミニブログのユーザーアクティブ度が40%下がったという。SINAにとってアリババとの戦略提携は、必然の選択であろう」と伝えた。

『環球時報』は、海外メディアの論説を掲載した。「Twitterなどの欧米ソーシャルメディアサイトと同様に、SINAミニブログにとり、巨大なネット影響力をいかにキャッシュに変えるかは大きな挑戦である」(ロイター社)。「この提携がユーザーに受け入れられるかどうかは未知数である。Facebookのような欧米のソーシャルメディアサイトが営利プロジェクトを打ち出したが、ユーザーに反対され、また一部の国でプライバシー侵害と見なされた」(ドイツ経済新聞)。さらに同紙は、「SINAミニブログの世論の方向性は、企業や投資にコントロールされることが懸念される。テレビ、新聞、雑誌など伝統メディアでは、コンテンツがすでにある程度広告主の影響を受けている。歴史をみると、コンテンツが完全に広告主にコントロールされると、メディアの信用力が下がる。また、企業や投資がメディアをコントロールする場合は、コンテンツがエンタティメント化する傾向がみられる。SINAミニブログもこれを避けられないだろう」と述べた。


(柯隆 編集)