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センター長メッセージ


濱下センター長 写真

グローバル地域センターが、グローバルな視野で地域の新たな可能性を考えるという趣旨に基づき静岡県立大学を拠点として成立した当初からセンター長を務めてこられた故竹内宏先生は、絶えず大きく変化するアジアに注目され、アジアと日本、アジアと静岡の交流を大切にされてきました。グローバル地域センターは、これからもこの視点を活動の中心として持ち続け、これからのセンターの役割を果たしていきたいと思います。とりわけ竹内先生による(財)静岡総合研究機構の長期に亘る情熱を込めた運営と、幅広い活動によって蓄積された内外の企業、自治体、大学、地域社会にまたがる方々との強い絆は、センターにとってかけがえのない財産であり、これからも多くの皆様方の変わることのないご協力とご指導を衷心よりお願い申し上げます。

今改めて注目すべきことは、竹内先生が鋭く洞察された日本が抱える2つの深刻な課題として、日本がアジアの大転換期に直面していること、そして日本が大地震多発時代に入ったこと、という大きな変化に対する警鐘です。具体的には、1)アジアが軍拡競争の時代となったこと、2)東南アジア諸国が成長を続け、大マーケットが生まれたにもかかわらず、そこには複雑な民族問題や中印による影響力の行使などがおこなわれていること、3)アジアには、インドネシア、パキスタン、バングラデシュという世界のイスラム大国が揃っており、インドの膨大な数のイスラム教徒など、宗教を背景としてもさまざまな紛争が発生しているという指摘です。第2次大戦後のアメリカ的民主主義が通用しなくなっているという先生の時代認識に改めて耳を傾けたいと思います。

これらに加え、地域紛争によって生じた6500万人を超えるといわれる難民が発生し、新たなグローバルな問題として進行しており、近未来の世界に大きな課題を投げかけています。いわば世界的な規模で地域格差が起こっているとも言えます。

ただし、このようなグローバリゼーションの動きは、別の視点から見ると、日本・アジアを始め世界にさまざまなレベルの新たな「地域」が登場し、それぞれが他の地域とこれまでにない多様な結びつきを始めている現象であるともみなすことが出来ます。これらの新たに登場する「地域」は、国を飛び越えて国際的な地域連携の主体となり、或いはこれまで地域末端に位置した「地方」がグローバルな課題に直接に取り組むことも可能となっています。さらにこのグローバリゼーションは、海洋という地域空間を内に取り込みながら、これまでの地域関係を改変し、新たにそれらを多角的に連結させようとする歴史的な動力であり、19世紀以来の歴史的空間の唯一の帰属先であった伝統的な「国家」の形にも変更を迫っているとも言えます。

静岡県立大学グローバル地域センターは、これまでの蓄積を踏まえ、グローバリゼーションにより激変する世界の中で、アジアの社会経済、日本の自然災害・危機管理という課題を中心に、皆様方のご協力を仰ぎながら静岡という地域の視点から、より多様にまたより深く取り組んでいく所存でおります。

グローバル地域センター
センター長 濱下 武志