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2017年2月に南海トラフ地震のワークショップを開催(特任准教授 楠城一嘉)




12月26日 特任准教授 楠城一嘉
地震予知部門では、2017年2月1日(水)に静岡県立大学で、南海トラフ地震の予測へ向けた研究力の向上が重要であるとの共通理解を構築するために、ワークショップ「南海トラフ地震の予測に必要な観測・研究は何か」を開催することにした。

最近の観測研究により、プレート間の固着域周辺での多様な地震・地殻変動が検出され、切迫性の高まる南海トラフ地震の予測可能性が議論されている。その結果、国の中央防災会議によれば、地震の規模や発生時期を高い確度で予測することは、現状では困難であると言う。一方、静岡県第4次地震被害想定では、地震が予知されて事前の避難等が実施された場合、被害軽減効果は大きく、その実現が望まれる。そこで、このような状況を踏まえ、南海トラフ地震の予測へ向けてどんな観測・研究が必要か、どんな地震予測情報が社会から求められているか、もう一度足元から見直し、研究力向上を共通認識とするためのワークショップを開催する。また、南海トラフ地震は大津波を引き起こし、活火山が連動して噴火することも想定されるので、静岡県における活火山や津波のリスク評価の現状も併せて議論したい。

このワークショップは、静岡大学、東海大学、静岡県立大学が中心となって企画しており、県外の東京大学、海洋研究開発機構、東京学芸大学、気象庁に協力を仰いている。本ワークショップの趣旨に賛同した米国カーネギー研究所も含めて計12講演を予定している。さらに、静岡県から来賓挨拶として、実務の観点から地震予測情報のあるべき姿などを述べていただけるだろう。今回のワークショップの第一義を考えれば、地震・防災を研究する研究者向けのイベントである。従って、国内の研究機関・研究者に参加頂けるように手筈を整えて、研究力の向上が重要であるとの共通理解を深めたい。

東北地方太平洋沖地震以降の地震防災に関する国や県の動き、また地震・防災分野の研究の進歩はあまりにも複雑すぎて、すべてを把握することは研究者であっても難しい。しかし、南海トラフ地震のリスクを負う静岡県民にとっては、難しいから知らなくて良いと言うような他人事では済まされないはずである。そこで、県内の地方公共団体・企業の防災担当者、防災関係のNPO団体、報道機関、政財界、地域防災に意識が高い方々に、ワークショップの参加を依頼する予定である。南海トラフ地震や東海地震に関する国や県の会議のメンバーを務める研究者の講演があり、整理された話が聞けるはずである。また、パネルディスカッションにて、会場の参加者と講演者の間で意見交換する場も設けている。この機会を通じて、県民の期待に応える研究を静岡県内外の研究者が実施していることを是非とも肌で感じて頂きたい。