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自治体が公開するオープンデータと地理情報システム(客員教授 井筒 潤)


8月4日 客員教授 井筒 潤 (中部大学 中部高等学術研究所 国際GISセンター)
 地理情報システム(GIS:Geographic Information System)を利用した各種サービスはカーナビや携帯電話、スマートフォンの地図アプリなどで広く一般に普及しているが、行政機関では昭和50年代からGISの研究・利用が行われてきた(岡部, 2008[1])。

 1995年の兵庫県南部地震による阪神淡路大震災をきっかけとして、1995年9月に「地理情報システム(GIS)関係省庁連絡会議」が内閣府に設置され、国土地理院では空間データ基盤の整備を行うなど、行政におけるGISの利用が促進された。防災基本計画の中でGISの積極的な活用が明示されており、ハザードマップなどは電子化されインターネット上で簡単に参照することができる。前回のコラムでも紹介した静岡市防災情報マップ[2]では南海トラフ地震や洪水・浸水のハザードマップをWebGIS(インターネット上で利用可能なGIS)として利用することができる。
 ※前回コラム(https://www.global-center.jp/column/column1/2022-59110/20220628/)

 各地方自治体では、防災以外にも都市計画や道路情報、地方税である固定資産税の計算など様々な業務で統合型GISを使用しており、そのデータの一部は市民向け情報提供としてWebGISで公開されている。2016年の「官民データ活用推進基本法」において、国及び地方公共団体はオープンデータに取り組むことが義務付けられており、自治体によってはオープンデータの一部をWebGISで公開し、市民が閲覧できるように整備されている。例えば静岡県では「静岡県統合基盤地理情報システム(静岡県GIS)」[3]を運営している。

 図は静岡県GISで最初に表示される「みんなのハザードマップ」の画面である。左上の灰色部分に現在表示中の情報が表示されており、その部分をクリックすることで図のようにメニューが開き地図を切り替えることができる。静岡県GISでは地震や洪水のハザードマップをはじめ、都市計画や道路情報、地価調査・公示情報だけでなく、「ふじのくにおすすめ情報」として富士山ビューポイントや伊豆半島ジオパークの情報などの観光情報も充実している。「みんなのハザードマップ」では災害時の緊急輸送路と公共施設などが表示されており、その上に南海トラフ地震での想定震度や想定津波浸水高さなどの情報を選択して表示させることができる。マップ上に線分やアイコンなどを書き込むことができる作図機能やルート検索機能などが実装されており、避難ルートの確認など自分用のハザードマップを作成することができるようになっている。

 繰り返しになるがハザードマップの元となる震度予測や津波予測、洪水・浸水予測は、様々な条件下におけるシミュレーションの結果のひとつでありその結果には必ず量的な誤差、空間的な誤差がある。静岡県GISでは上部の検索窓に住所を入力するとその位置をピンポイントで示す機能があり自宅での災害リスクを調べることができる。しかしながら、ピンポイントで示す自宅の場所が安全なように見えても、災害リスクがある場所がすぐ近くにあるなどの場合は、同様に危険である可能性がある。ハザードマップは分かりやすいところが利点であるが、災害の境界線(実際には誤差を大きく含んでいる)も分かりやすく表示されてしまうので、自宅の場所だけでなく、周辺の災害リスクもあわせて判断するよう注意して活用してもらいたい。

参考文献・参考URL
[1] 岡部 篤行, “日本における1970・80 年代のGIS 開発 ―日本のGISの曙―”, 地学雑誌, 117(2), pp.312-323, 2008.
[2] 静岡市 静岡市防災情報マップ
  https://www2.wagmap.jp/shizuoka-hazard/Portal
[3] 静岡県統合基盤地理情報システム(静岡県GIS)
  https://www.gis.pref.shizuoka.jp/

図: 静岡県統合基盤地理情報システム(静岡県GIS)の画面。
左上の現在の地図情報を表示している部分をクリックすると
図のように切り替え可能な地図の一覧が表示される