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グローバル地域センターで、「21世紀アジアのグローバル・ネットワーク構築と静岡県の新たな役割に関する調査研究」を開始(センター長、特任教授 濱下武志)


2月14日 センター長、特任教授 濱下武志
経済発展を続けるアジアの各地域は、単に工業生産分野を欧米に代替する役割を担うのみではなく、グローバルな生産のあり方や経済の質を転換させることが求められている。また、人口問題という世界的に重要な主題から見ると、2030年、2050年などに大きな転機が訪れる。工業化した地域は高齢化のピークを迎え、中国は2030年を分水嶺として、その後急速に高齢化社会に転じる。また、世界人口の増加のピークは、2050年と予想されている。これらの結果必要となるであろうアジア規模の人口流動化(労働力の再配分)や経済活動の地域的再編などの課題に直面する。

このように、グローバルに今後を見据えたアジアの変化からも、アジアの地域間ネットワーク構築の課題が見えてくる。すなわち、アジアに歴史的に見られた広域地域秩序と、地域間に生じた交流・競争・摩擦などを多角的に組み合わせてみると、今後3つの地域関係モデルが導かれる。それらは、(a) 圏域として構想されたグローバルな広域アジアであり、主には、中国を中心とした周縁との地域連関からなる。次に、(b) 異なる経済発展や多様な歴史文化を背景に持つアジアの地域間連携が想定される。さらに、(c) 静岡・清水、御前崎と寧波・舟山のつながりなど、アジアの海域を繋ぐ沿海都市間の多様な地域ネットワーク・モデルである。この沿海都市ネットワークは、14世紀北欧のハンザ同盟などにもさかのぼるEUの下での「バルト海沿海都市連合(Union of the Baltic Cities)」のように、アジアにおいても長い歴史を持ち、今後のアジアの変動に応えるべき多様な地域間ネットワークの構築に重要な役割を果たすと考えられる。

静岡県立大学グローバル地域センターは、2018年度から「21世紀アジアのグローバル・ネットワーク構築に向けた研究」に取り組む。中国が進める「一帯一路」に注目し、静岡という地域の視点から、そして静岡県と浙江省との地域間交流の実績を踏まえ、歴史と現代に跨るより多様なアジア地域間ネットワーク形成の課題に国際共同研究によって取り組んでいく計画である。