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静岡の自然の豊かさを学び、防災を学ぶ(特任准教授 楠城一嘉)


4月4日 特任准教授 楠城一嘉
2011年3月11日に起きた東北地方太平洋沖地震から、8年が過ぎました。その地震による東日本大震災から前向きに復興を目指して東北の方々が活動していることは報道の通りです。静岡に住む我々は、将来必ず起こる南海トラフ地震に直面しますので、東北の光景は未来に起きる我が事と感じると思います。

国の発表によれば、南海トラフ地震の30年以内の発生確率は「70~80%」で、非常に大きな数字です。その状況で、地震や地殻変動の観測が進み、又、科学技術が進展したことに伴って、警戒宣言発令の前提となる確度の高い直前予知は困難ということが分かってきました。一方で、不確実でもどの程度ならば予測できる(地震に関する様々な異常な現象を捉えられる)という現状も分かってきました。これは、地震学が直前予知を諦めたのではなく、道半ばであることを示しています。

この防災対応の流れは、警戒宣言の強制力を拠り所にするのではなく、各主体者が現状を把握し、その状況に合わせて行動することが求められるものです。そのためのガイドラインを国が先月まとめたところで、今よりももっと一人一人の防災意識を高めて防災行動へつなげることが重要になります。しかし、何故そこまでして、このリスクと共生していくことが必要なのでしょう?

本県の自慢と言えば、山海の幸や温泉であったり、富士山であったり、枚挙に暇がありません。その多くは自然の恵みによるものであることは周知の通りですが、実は、プレートのせめぎ合いの結果、出来たものなのです。つまり、上記のような文化的・産業的価値を生み出していることと、プレート境界の巨大地震・大津波などによるリスクは、共存するのであり、それが本県の大きな特徴です。防災意識の高いコミュニティーを作りつつも、身近な自然の尊さを再確認し自然を活用して豊かな社会を作ることが、静岡県で暮らすことと言っても過言ではありません。

しかし、この意義を考える機会は減っているのが実情でして、理科離れ、地学離れなどと昨今言われるものがその端緒かもしれませんが、何れにしても歯止めをかける必要があります。そこで、静岡県の大学の研究者が集まり、県内各地で連続講座「静岡で知っておきたい地震と火山と防災」を開催して、本県の自然やその豊かさを知り、なぜ防災が必要か、そしてどのような防災が必要かを学びました1)。今後も同様の講座を開催する予定ですので、ぜひ参加頂ければと思います。

今年度から地震予知部門に鴨川仁先生が着任され、本県にとって重要な富士山や津波防災の最先端研究が進められることになります。今までより幅広い分野の防災啓発の講座が可能となりますので乞うご期待下さい。

1)平成30年度ふじのくに地域・大学コンソーシアム大学連携講座「静岡で知っておきたい地震と火山と防災」
https://www.global-center.jp/earthquake_prediction/information/2019/
http://www.fujinokuni-consortium.or.jp/introduction/course03/course03_2/